【2016年度】日本語専門家公募の過去問をやってみる(1/4)

投稿者: | 2017年7月28日

国際交流基金の日本語専門家の募集がおこなわれています。過去問が公開されているのでこれを解いてみることにしました。

■国際交流基金 平成28年度 過去問(https://www.jpf.go.jp/j/about/recruit/download/28-kakomon.pdf)

大きい問題が全部で19問。試験時間は120分だそうです。量が多いので4回に分けてやっていきます。これは模範解答ではありません。なので間違っているかもしれません。その辺りはご了承ください。もし間違いがありましたら、ぜひコメント欄で教えてください!

問題1

ぐはっ。。。いきなり音声の問題ですね。この時点で諦めちゃいそう…ですが、よ~く見るとそこまで難しくはなさそうです。問題は6問で選択肢も6つということなので、合っているかどうかはわかりませんが、消去法でもやっていけそうです。

(1) f
「叶わない」と「仮名は無い」。これは発音は同じですから、fでしょうか。でいいと思います。「叶わない」では「わ」のところでアクセントの山ができます。「仮名は無い」は「な」のところで山ができますね。

(2)b
これは結局「ひ」と「し」の発音の違いが何に起因するか、という問題ですね。声に出してみればわかりますが、この2つを発音する時に擦れたような音が出ます。この「擦れた音」というのがポイントです。2つとも「摩擦音」じゃないでしょうか。息と口の一部で摩擦を引き起こした音が「擦れた」音になるんですね~。

こういう「摩擦音」とか「破裂音」とかいうものは「調音法」と呼ばれます。ですから、この2つは「調音法」という点では同じです。じゃ何が違うのかっていうと「調音点」が違うんですね。「調音点」というのは「どのポイントで呼気を妨害するか」ということです。「し」の音は歯の間から出てくるような感じがします。一方「ひ」の音はもっと後ろ方から出てくる感じがしませんか?具体的には「し」の子音は「歯系口蓋音」で「ひ」の子音は「口蓋音」と呼ばれているそうです。なので答えはbでしょう。

(3)a
結局これは「が」と「か」の音の違いが何に起因するか?ですよね。これは簡単です。aでしょう。発音したときに声帯が振動する音が「有声音」、振動しない音が「無声音」です。「が』の子音「g」を発音すると喉に振動が感じられますが、「か」の子音「k」では振動が起こりませんね。

(4)d
「わ」と「ヴァ」の違いですね。発音してみるとわかりますが、これは全然発音のしかたが違います。vの男は舌唇と上の歯をつけなさい、と英語の先生に言われました。「わ」はそんなことしませんよね。なのでとりあえず調音点が違うことはわかります。

「ヴァ」の子音は摩擦音でしょうか?ちょっとこの辺は自信がありません。一方「わ」は半母音と呼ばれますよね。これは摩擦が起きない発生で、「接近音」とも呼ばれます。「わ行」や「や行」の子音がこれに当たります。「ヴァ」の調音法が何かよくわかりませんが、ともかく調音の方法が違うことは明らかです。とにかく調音法も調音点も違うので答えはdでしょうかね。

(5)e
「ん」が欠落してしまったわけです。これは「ん」を一拍分発音しなかったために起こることでしょう。ですからeですかね。

(6)c
「し」と「ち」の違いです。これは発音してみるとわかりますが、よく似ていてます。舌の位置は同じです。だとすると呼気を妨害する部分は同じなので、「調音点」が同じというわけです。では「調音法」が違いそうですね。結論からいうと「し」の子音は(2)でも言いましたように「摩擦音」です。

じゃあ「ち」の子音は?というと「破擦音」でしょう。これは「摩擦音」に似ていますが、摩擦とほぼ同時に「破裂」があります。「破裂音」というと簡単なのは「ぱぴぷぺぽ」の子音です。これは破裂している感じがしますよね?それに摩擦をあわせたのが「破擦音」です。破裂してこすっている感じがしませんか?「ち」「つ」の子音がこれにあたります。なので答えは「調音法」が違うので、cでしょう。

いや~音声とか日頃テキトーにやっていたので冷や汗かきました(汗)

調音点ってなんだっけ?のような方は以下で簡潔な説明が見られますよ。

■篠研(http://www.kanjifumi.jp/keyword/

問題2

さあ、続いて問題2です。まだ音声の問題が続きますが、これは○☓なので少し気が楽ですね~。

(1)  「日本語のアクセントは単語の意味を区別する働きはない」これはおかしいですね~「橋」と「箸」などはアクセントの違いで単語を区別していますよね。

(2)  アクセントは規則があるわけではなく恣意的に決められていますから、はじめて見た単語のアクセントはわかりません。

(3)  単語自体のアクセントも重要だし、文全体のプロソディ、山みたいなものも重要です。

(4)  「自然なイントネーションで話すためには」ひとつひとつのアクセントを強調して単語の高低の差をはっきりつけるより、文全体の山を考えて発話するほうがYいいです。

イントネーション、プロソディとか用語の整理が今一度必要だな~と思いました。私も何となくしか理解していませんので。音声関連に関しては『音声を教える』これを読むとよくわかります。私も何回も読みましたが、忘れてしまいました(笑)

問題3

やっと音声が終わりました。

回答用紙がどのくらいのスペースをとっているのかわからないので、どのくらいの長さの回答が要求されているのかわかりませんが。

(1) 「日本に来た前」→「日本に来る前」

学習者は「日本に来る」という行為も過去の行為であるため過去の形である「来た」を用いたと思われる。しかし主文の「(韓国に)行きました」という時点を基準として考えるとその時点では「日本に来る」という行為が完了していないため、過去である「来た」を使うのはおかしく、「来る」としなければならない。

(2)「10分だけかかります」→「10分しかかかりません」

学習者は家と会社までの距離が非常に近いということを表現したいのだと思われる。それを表現するためには「しか~ない」の表現を用いる方がよい。「3つだけある」「3つしかない」という例文を比べればわかるように「だけ」は「存在する」ことに焦点があり、「しか」は「存在しない」ことに焦点がある。この場合は「いくらも時間がかからない。とても近い」ということ述べたいわけだから、「しか」を用いた方がその意図を実現しやすい。

(3)「音大生が引っ越して」→「音大生が引っ越してきて」

「引っ越して」だと、「引っ越して行った」ニュアンスになってしまうので「きて」を必ず入れなければならない。基準から離れていくときは「~ていく」を、反対に近づいてくるときは「~てくる」という複合動詞化を指導しなければならない。

・・・これは「学習者への説明」という指示はないので、このような固い感じでいいのだと思いますが、どこまで書くべきか悩むところです。

問題4

「~ことにする」は「私が決める」ことを言います。だから「100人分の食べ物を作ることに決めます」ということです。反対に「~ます」は「決める」の意味は入っていません。
例えば、カフェに行って「私はコーヒーにします」といいますよね?これは「私はコーヒーに決めます」という意味です。「コーヒー」は「名詞」ですから「コーヒーに」になります。「作る」は「動詞」ですから「作ることに」という形になります。「日本に留学することにしました」というと「日本に留学することに決めました」という意味になります。「日本に留学します」は「決める」のニュアンスがありません。

これだと100点はもらえそうにないですかね。「対比的に」というのがうまくできていない気もします。

ここでは「n4レベルの学習者が理解できるように」という指示があるので、簡単な語彙を使って書く必要があります。また全部説明する必要はないでしょう。n4レベルの学習者が「わかった!」と思えるような説明をすればいいわけですが…

問題5

適切な例:「あのう、お客様、この建物は撮影禁止となっております。」

「~てはいけません」は禁止の意味を表すので文脈上間違いではありません。でもこの表現は少し強い言い方になってしまいます。高圧的ですね。もちろん敬語を入れて「おとりになる」としている点は良いと思いますが、そもそも目上の人やお客様に命令をすることはあまりよくありませんね。命令と敬語はうまく馴染みませんしね。
「撮影禁止となっております」という言葉は、まず、相手に対して命令をしていません。ただその場での規則を示しているだけです。それによって相手に「写真を撮るな」ということを指示している点は同じですが、直接的に命令しているわけではないので、聞いた方も気分を害さないと思われます。

…ガイドをしているわけですから日本語においては上級者でしょう。ですので語彙コントロールはあまり必要ないと思います。これで何点くらいでしょうかね?

 

ここまで問題1~5まで説いてみました。続きはこちら