ジグソーリーディング失敗の巻

投稿者: | 2019年1月30日

ジグソーリーディングを授業に取り入れてみました。結論から言うと、あまりおもしろい授業はできなかったんですが、反省を次に活かすという意味でこの授業の総括をしてみたいと思います。

ジグソーリーディングとは

篠研のキーワード解説には以下のように出ています。

グループによる読解活動で、メンバーがそれぞれ異なったテキストを読んで​、​自分が読んだ情報を持ち寄り​、​情報の断片から全体を作り上げ共有することで読解力を強化する読解活動。

ちょっと前にしきりに叫ばれていた協働学習の実践例の一つですよね。ここでやり方を説明するとなかなか長くなってしまうので、わからない方はググってみてください。

授業の進行

【授業環境】
学生は韓国語母語話者12名程度で、平均的な日本語レベルはN4くらいです。

【授業の目的】
この授業はコースの終盤におこなったのですが、それまでの授業はあまり他の学生と協働を促すような類の活動がなく、どちらかという個人プレイでCandoをこなしていく授業でした。

せっかくクラスで授業をやっているのだから、横のつながりもできるようにしようという目的でこの授業を設定しました。

【教材】
これが非常に悩ましかったのですが、結局MATCHAのやさしい日本語サイトを利用することにしました。このサイトから2つの記事を利用して、多少編集を加えて読解教材としました。

知っていますか?「にほんの自然災害」

教材は2種類作ったのですが、まずは「自然災害」の方をご紹介します。全体の記事を3つに分けてそれぞれABCとしました。学生を3グループ(エキスパートグループ)にわけて、それぞれにA、B、Cの読解資料を渡します。


【グループに分かれて読む(エキスパート活動)】
ジグソーリーディングについて知っているか?と学生たちに聞いてみたところ、誰一人知らなかったので、その活動の概略についてまずは説明しました。その後にグループごとの精読です。1グループは4人前後で構成されます。

学生たちには「みんなで協力して自分のグループの担当部分をしっかり読んでください」「わからないところは質問してみて」「スマホを使っても構わない」といったことを伝えました。

【ジグソー活動】
次に、違う資料を読んだ学生たちを組み合わせて、メイン活動であるジグソー学習に入ります。自分がエキスパートグループで読んだ部分を他のメンバーにシェアしつつ、他のエキスパートグループのメンバーの読んだ部分について話を聞き、教材全体に対する理解を深めていきます。

【問いに対する答えを考える】
大体、全員が教材に対する全体像をつかめたと思った時点で「問い」を学生たちに提示しました。この教材での問いは以下の2点としました。

①自然災害にできるだけ遭わないように日本旅行の計画を立てるとしたらいつが良いでしょうか。

②それでも自然災害に 遭ってしまった場合、現地でどのように行動すれば良いでしょうか。

この2つの「問い」にグループで答えを出すように促します。読解教材の中には「7~9月に台風が多い」とか「地震は一年中起こる」といったような記述があるので、それをヒントに話を進めてもらいます。

もちろん↑の2つの問いには「正しい答え」というものがありません。自分が読んだ部分を中心に意見交換をして、グループでそれなりの一つの答えさえ出せればOKなわけです。極端な話、「私たちは沖縄に行きたいので、大雪などは関係ありません。7~9月の台風の多い時期さえ避ければOKです」というような答えを出したって全然構いません。

肝は「ちゃんとみんなで話をできるか」という点ですね。

反省点

自由度も高いし、なかなかおもしろそうな授業だと思いませんか。少なくとも私はそう思っていました。ただ、やった後の教師の感想としては「ビミョー」と言ったところでした。なぜでしょうか。

【協働していない】
上の方でも述べましたが、この授業は「協働」が全てです。ただ日本語の文章を読み進めるだけなら別にこのような体裁はとらなくてもいいのです。でもその根幹の部分がうまくいきませんでした。

エキスパートグループで自分たちに割り当てられた文章を読む際に「ねえねえ、これどういう意味?」「これってさあ、こう理解すればいいのかな?」というようなやり取りを期待していましたが、それがほとんどありませんでした。

だって、み~んなダンマリで、スマホとにらめっこなんですから。こりゃ意味ないわ。

もちろん、これは学生の責任ではありません。教師が授業をうまくコントロールできなかった好例と言えると思います(恥ずかしいけどね)。Twitterでこの辺りを日本語教師陣に聞いてみたところ、

まず一人読みの時間を設ける

というご意見を頂戴しました(だいぶ前のツイートなので原本を探し出せず)。

なるほど、そうか「この時間はまず一人で読む」「次の時間はエキスパートグループで自分の理解を確認し合う」というようにステップを踏めば良いのだということがわかりました。スマホとにらめっこする時間を別に作ってやるということですね。

【問いが曖昧】
最後にグループで問いに答えてもらうわけですが、その問いを一番最後に提示してしまいました。なので、学生としては最初にエキスパートグループで読みを進めていくときも到達点がわからないため、どこに焦点を絞って読んでいくかがわからないことになります。

結局学生の立場としては「一字一句精読をする」ということしかできなかったと推測されます。この辺は前もって「問い」を提示しておくべきだったな、と反省しました。

しかし、言い訳をするようですが「問い」を後出ししたのはそれなりの理由があったのです。というのは、この教材で↑の問いに答えるのが目的としたら、ほんと簡単に読めちゃうんじゃないか、読解の練習にならないんじゃないかという点を憂慮したんですね。

でも、今終わってみて考えてみると、仮に最初に読むべきポイントを絞って提示していたとしても学生にとってはそれなりの負荷になったんじゃないかなと思います。やはり、読解は一字一句の精読を求めるような場合じゃない限り、読むべき、探すべきポイントを前もって提示しておいたほうがよいと思います。

もう一つの活動

上でも言いましたけど、この自然災害の他にももう一つ教材を作りました。↓の記事を利用して、上の自然災害と同じように授業を進めました。

日本旅行、一日の食事は平均いくら?

この記事をやはり3つのグループにわけてジグソーリーディングです。↓のような内容ですね。長くなるので全部はお見せしませんが、各飲食店などで食事をすると予算はいくらくらいになるかという文章を読みます。

グループでディスカッションするべき問いは以下のとおりです。

①日本に旅行に行くとしたら、一日の食費の予算をいくらくらいに設定するのが良いと思いますか。

②日本の外食費は韓国と比べて高いでしょうか、安いでしょうか。

これもご覧になるとわかりますが、「正しい答え」がありません。「私は食にあまり興味がないから3食全部安く上げるようにして、2000円くらいを食費の予算にします」でもいいし、「せっかく旅行に行くならいいものをたくさん食べたいので8000円くらいに設定します」というのも全然ありです。

この活動は、やり方としては自然災害と同じようにやったんですが、これよりは面白くできたと思います。「面白くできた」というのは学生間の相互のやりとりが割とスムーズに言っているようだったし、楽しんで会話をしているようだったということです。

まとめ

というわけで、「あまりうまくいかなかったジグソーリーディング」について書いてきました。実は私もジグソーリーディングについてそんなに知っているわけではありませんので、「お前、それ違うよ!」という指摘もあるかと思います。ただそれはそれとして、コンテンツの選定と手順を間違えなければ、それなりに意味のある活動ができるんじゃないかなと思います。

あと、地味な問題点としては、作った読解教材をどのように学生に渡すかということですね。今回は全部紙でコピーして渡しましたが、これはなかなかの手間でした。本当はスマホで共有したかったんですが、学生の立場では外国語の文章を小さい画面である程度量のある文を読むのは大変そうだったので、紙を選択しました。

そのへんについては↓にも書いてあるのでもし興味がございましたらぜひお読みください。

電子教科書の問題点

ジグソーリーディング失敗の巻」への2件のフィードバック

    1. shirogb250 投稿作成者

      コメントありがとうございます〜光栄です!

      返信

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