【レビュー】『フォーカス・オン・フォームとCLILの英語授業』

投稿者: | 2017年8月22日


英語教育に関する本ですが、日本語の授業にも役立ちそうなことが書いてあったので読んでみました。

フォーカス・オン・フォームとは?

恥ずかしながら、タイトルの用語について全然知りませんでした。

フォーカス・オン・フォーム
形式重視の教授法と意味重視の教授法の両者の問題点を克服するために考案された言語教育方法である。それは言語習得の3要素に十分配慮して、意味内容を授業の中心に据えつつも、必要に応じて学習者の注意を形式に向けさせていく試みである。(p51)

うーん、分かるようでわからないような…ここでいう3要素っていうのは「言語形式」「意味内容」「言語機能」のことです。

私の理解したところを言うと、オーディオリンガルメソッドのような理論を用いて、文法を積み上げていくような、場面と切り離された教育を「言語形式」中心の教育。コミュニカティブ・アプローチのような場面を設定して、とりあえずタスクをこなしていく教育を「意味内容」中心の教育。最後に「お願いする」とか「謝る」とかいうような機能でくくりを入れて学んでいく教育を「言語機能」中心の教育、とします。どれも、過去に流行した教授スタイルではありますが、その全てを否定するのではなく、その全ての要素をバランスよく取り入れていこうぜ!というのがこの「フォーカス・オン・フォーム」なのではないかな~と思います(間違っていたらすみません)。

その理解が正しいとして話を進めますが、確かにそのとおりですよね。やれオーディオリンガルだ、やれコミュニカティブ・アプローチだと時代の移り変わりによって教授法の流行が変わっていくわけですが、新たな教授法が流行ったら、何故かそれまで大流行した教授法が全否定されちゃうような雰囲気があります。今ではSNA(ソーシャル・ネットワーキング・アプローチ)がじわじわ来ていますが、この理論の信奉者からしたらコミュニカティブ・アプローチなんてダメダメなんですよね。

過去のことも今のことも再点検して、いいとこ取りをしていこうというのは良識ある教師にとって必要な素養ではないでしょうか。こういう中庸的なことって意外と大事ですよね。

CLILとは?

CLIL(内容言語統合型学習)
言語教育と他教科などの内容教育とを統合した形で行う教育方法の総称である。教科内容を題材にしてさまざまな言語活動と指導を行い、外国語の4技能を向上させていくことを目指す。(p72)

これも、よくわかりませんが、その前の文章を見ると、ちょっとわかってきます。

CLILは同時代に複言語主義の理想を掲げたヨーロッパ共同体の中で生まれ、育まれてきた考え方である。現在は、ヨーロッパを中心に世界的に広がる言語教育アプローチである。

複言語主義についてなら、以前少~し勉強しました。

■【レビュー】『日本語教師のためのCEFR』

フォーカス・オン・フォームは北米生まれの教授法であり、CLILはヨーロッパ生まれの教授法です。で、複言語主義といったら自動的にCEFRが思い浮かびますが、CEFRは教授法ではありません。だからきっと、これも私の理解が正しいなら、CLILとはCEFRの理念に基づいた教授法、なのではないでしょうか!

CLILのアプローチを端的に示す言葉は「LEARN AS YOU USE, USE AS YOU USE」つまり、「使いながら学び、学びながら使う」ということです。そういう概念の上に、3つの要素をバランス良く取り入れようとするフォーカス・オン・フォームの教授法が重なるとこれはもう素晴らしい学びの機会が得られるような気がしますね。

これでフォーカス・オン・フォームとCLILについてすこ~しわかりましたが、問題はじゃあそれに基づいた授業って?ということです。それが後ろの方にはたくさん書かれています。

面白いと思った活動例

★同時通訳練習

p153~p158に書いてある練習です。学習者を3人一組とし、「日本語しかできない人」と「英語しかできない人」との会話を「日本語と英語ができる人」が同時通訳して成り立たせるという練習です。もちろん学習者は全て「日本人の英語学習者」です。話す内容はロールプレイ方式で、細かい指示を与えておくということですが、ロールプレイの内容は本書をご参考ください。

本書では結構詳しく設定をおこなっているのですが、あまり縛りを与えると自由に話せないんじゃないかな~と思いました。例えばもっと簡単に、「昼食をどこに食べに行く決める」とか、「いま住んでいる地域についていろいろと聞く」みたいな感じでもいいでしょう。

私が思ったのは、とりあえず何か話すテーマを与えておいて、同時通訳を介して話をさせます。その会話は録音しておいて、会話終了後にその3人でフィードバックをおこない、もう一度やってみる、という活動です。またグループの構成を変えてやってみてもいいですよね。

★ナレーションタスク

p150~p152に書いてある活動。

よくある活動かもしれませんが、4コママンガみたいなものを見せて、それを目標言語で説明します。その後にネイティブが書いたモデル文を読みます。

ポイントは「既存の言語知識を振り絞って、必死にストーリーを表現しようとしている」という点と、アウトプット後にネイティブが書いたモデル文を読むときの知的欲求が非常に高まる、という点ですね。

これは大人数の一斉授業でも個人別の活動としてできそうですし、なかなかいいんじゃないかな~と思いました。

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