追記:2018年9月15日
数年前から紙とは決別しました。以前は授業の補助教材として毎授業ごとに一枚くらいはプリント的なものを配布していたんですが超メンドーですよね~
・印刷して人数分コピーすること
・コピー機に先客がいる場合待たなければならないこと
・コピー機がよく紙詰まりを起こすこと
・持ち運ぶこと
・欠席した学生に対して次回の授業で渡したりしないといけないこと
で、私は紙をやめました。コスト的なものもばかになりませんしね。
■コピー機、そろそろやめません?(むらログ)
その代わり授業の資料のようなもの、つまり授業で使ったスライドや、試験の範囲を詳細に示したものなどは掲示板に上げたり、SNSで共有したりしてなくなったプリントの機能を補ってきました。
そんな中、新たに開設された授業を受け持つことになったんですが、この授業はいろいろあって今学期は「主教材」つまり「教科書」が使えないんです。
「実用日本語会話」というタイトルだけあって、後は全部自由。テキストもない。さて、どうしよう?ということで今回ご紹介する「なんちゃって電子教科書」で乗り切ることにしました。
なんちゃって電子教科書とは?
電子教科書って大げさなこと書きましたが、ただ単にグーグルスライドで作った授業資料をURL共有するだけなんです。
え?じゃあ今までと同じじゃないの?…なんですが、一つだけ違うのは「授業中に学習者がこのスライドを各自のスマート端末で見ながら授業を受けることを推奨する」という点です。
作ったスライドはスクリーンで教室の前方に表示されます。でも、そこに日本語の文字が書いてあっても、後ろに座っている学生とか、目の悪い学生は見えなかったりしますよね。それに、リアルの教科書がないから、スライドが流れていってしまったら見逃した部分は確認できなくなってしまいます。
ですから、そういった「スライドをスクリーンに写す」のを補助する役目としてリアルタイムで「スライドを各自のスマート端末でも見られるようにする」ことにしたのです。
スクリーンに写るものと、各自のスマート端末に写るスライドは同じものですから、「スクリーンだけ見たい人はそれでも良し」「スマホだけ見たい人はそれでも良し」というようにしています。中にはラップトップを持ってくる学生もいますね。ただ、今までのところ、強制していないにもかかわらずほぼ全員が自分の手持ちのスマート端末でスライドを開いているようです。
例えばの使い方
これ、非常に使い勝手が良いです。具体的に説明します。
今回やっている授業は小さなCANDOを積み上げていく形なんですが、その一つとして「ファーストフード店で注文ができる」というCANDOがあります。
私が店員に扮し、学生がお客さんです。はじめはなんの指示もなしに、「うまくできたら合格です」と伝えます。中にはなんの指示がなくてもできる学生もいるでしょうし、なんとか食べたいものだけは言える学生もいるでしょう。
ちなみにここでは↓のようなメニュー表を利用するんですが、JFS読解活動集にあった画像をアレンジさせてもらいました(注文の前にメニュー表を読む活動もおこないますがこれはここでは省略)。
うまくできない学生、まったく取り付く島もないような学生には助け船を出します。それが↓のスライドです。前述したように、これがスクリーンに写されていますし、必要な学生はスマホでもこれを見ています。
↑の「ここをタップ」というところをタップすると、事前にリンクしておいたYoutubeの動画に飛びます。↓です。ここではスライドで見えている部分を私が読んでいるだけなんですが、自分のペースでその音声を確認したりできます(ほんとうは文をタップするとその文の音声だけがリンク飛びなしで出てくるようにしたかったのですが、できませんでした)。
追記:Googleスライドで音声ファイルをリンクするには、Chromeの拡張機能であるAudioPlayer for Slidesを使うことで実現できます(村上吉文先生に教えてもらいました)。ただし、それをURL共有した端末で開いたスライドでは音声は再生されません。
ロールプレイで私が言うセリフのほとんどはここにあります。最初はうまく日本語で注文できない学生も、これを見たり聞いたりすれば店員である私が話していることくらいはなんとなくわかるでしょう。またここでは載せませんでしたがこの次のスライドはお客さんが使う言い回しを同じように5つくらい書いて、Youtubeで動画を共有しています。
日本語能力は、特にこのクラスの場合千差万別です。上手な学生が私とロールプレイをやっている間に、比較的日本語能力の劣る学生はYoutubeで音声を確認しつつロールプレイに臨む準備ができるというわけです。
手早くリンクに飛べるのが最大の利点
え、でもさ、それってただYoutubeに飛ばせているだけで、そんな大したことでもないよね?という声もあることでしょう。確かにグーグルスライドでなくても実現できることなのですが、「教科書」からどんどんリンクに飛べるというのがいいのです。授業のあいだ、ずっと開いているスライドからすぐに飛べるということですね。
もし、「じゃあ練習用に動画を送りましたから必要な人は見てください」ということになると、ポケットやカバンの中にあるスマホをごそごそと出したりすることになるわけで、授業の流れが非常に悪くなってしまいます。
子供用の英語の本などに動物の絵を触るとその動物の英語名が聞こえる、みたいなのがありますが、それと同じようなものです。そこでわざわざ「スマホで確認」となったら誰もその音声聞かないでしょう?
また、このスライドは「少なくとも授業の前日までに共有する」と言ってあるので、必要な学生は予習もしてくるでしょうし、リンクがあればそれを見てきたりもするでしょう(もちろん欠席した学生へのケアにも使える)。
反転動画なんかも入れやすいですよね。スライドを共有するときに「1枚目のスライドのリンクは必ず見てきてください!」と入れておけばいいだけですから。あ、最後の理解度テストもグーグルフォームとか貼り付けとけば回収率はきっと高くなるでしょうね。
先日の授業ではスライドを紙に印刷してくる学生もいました。学習スタイルは人それぞれなので、自分にあった方法を学習者が選択できるのもいいところです。
ぜひお試しください~もしくは更に良い使い方をご教授ください!
教えてください
自分のスマホでスライドをみているとみせかけて
ゲームをしている子Facebookをみている子などはどのどのように対処しますか。
また、GoogleスライドのURLなどはどのようにして共有していますか。(どうやって学生のスマホひらかせます)
コメントありがとうございます!!
>自分のスマホでスライドをみているとみせかけて
ゲームをしている子Facebookをみている子などはどのどのように対処しますか。
これは以前同僚にも聞かれました。
が、あまり私は気にしていません。
というのも、このような形式の授業でなくても私はスマホの授業中の使用を推奨しているからです。
例えば、今は電子辞書などを持っている学生もほとんどいませんから、辞書一つ調べるだけでもスマホが必要になります。
「わからなかったらスマホで調べてもいいし、私に聞いてもいいです」みたいなことをよくいいます。
結果として、スマホで遊んでいる学生もいます。
でも、それはその学生が学びの機会を自ら失しているだけですので、私はあまり気にしません。
(もちろん、そのような学生が多ければ、自分の授業進行になにか問題があるのか?と考えることはあります。)
>GoogleスライドのURLなどはどのようにして共有していますか。
このクラスでは書く練習をするんですが、そのときはFacebookのグループページを活用しています。
つまりこのグループページにクラスの全員が入っていますので、そこでURLを流せばそれで簡単にシェアできます。
また、この授業以外ではSNSでつながっていない場合が多いです。
その場合には最近はQRコードを利用しています。
QRコードは「QRコード生成」と検索すれば、すぐに作れます。
できたQRコードをスクリーンに写せば、あとは学生たちが勝手にスマホを出して接続してくれます。
各種SNS(ラインとか)にQRコード読み取り機能があるので、韓国ではほぼ100%これで目当てのページに誘導できます。
(Iphoneは写真取るだけで接続できるみたいですね)
私も数年間URLの誘導に悩みましたが、これが今の所ベストだと思っています~
ときどき、これは聞かれることもあるので、新しい記事としてまとめておきました。
■日本語授業、ウェブページの共有はQRコードで!
ピンバック: かんたん電子教材の作り方 – さくまログ
ピンバック: 電子教科書の問題点 – さくまログ