Slackを日本人教員間で取り入れてみたよ。

投稿者: | 2019年2月14日

職場での連絡、情報共有はどのようにおこなっているでしょうか。Twitterなどを見ていると、「未だにノートを回している」ところもあるみたいですね。ただやはりそれは例外でしょう。おそらく多くの職場(日本語関連に限らず)では電子的なやり取りをおこなっていことでしょう。

私は韓国の私立大学で働いていますが、この学校には日本人教員が現時点で12名います。そしてその12名が同じ所属で、業務内容はほぼ全員同じです。というわけで2015年の時点からカカオトークでチャットルームを作り情報の伝達、連絡をおこなってきました(それ以前はあまり相互に連絡を取り合う必要がなかった)。

カカオトークを選択した理由は簡単で、みんな既にアプリがスマホに入っているからです。韓国では圧倒的な強さを見せていますからね。もし韓国在住でカカオトークが入っていなかったらその人はモグリですよ。

カカオトークの問題点

カカオトークもなかなか優秀なツールです。ご存知ない方はほぼLINEと同じと考えていただければ良いかと思います。

ただ困るのがタイムラインが流れていってしまうので、あるトピックについて落ち着いた議論ができないということです。

どういうことかというと、例えば「成績の付け方」について話をしているとします。その日のトピックがそれだけならいいんですが、途中で「来週の会食について」というトピックが出てきたりすると、一つのタイムラインに2つの話題が混じり合ってしまって、メチャクチャになってしまいます(そのうち片方の話題は未解決のまま忘れ去られてしまいます)。

それを解決するために、何かまとまった議論をする際にはFacebookのグループ機能を使うようにしました。ただFacebookはあまり使用しない人は使用しないし、連絡のためのツールが2つに分散されるとなかなか面倒です。

そういった事情から不便ながらもずっとカカオトークを使ってきました。

カカオトークの名誉のために言っておきますと、掲示板などの機能をフルに使えばかなり多くのことができます。ただ、掲示板の機能など知らない人も結構多いですから、フルに使うためにはアナウンスが必要になります。↓の記事を読むと掲示板を使う意義やその使用方法についてわかります。

カカオトークでクラス管理

というわけで、Slackの導入を決意しました。その使い方については各自で調べてもらうとして、ここからは導入してどうだったかについて書いていきましょう

良かった点

上に書いたように、まず大きな利点はトピックごとにコメントをつけて、複数の違う話題を同時進行できるという点です。↓の写真を見てもらえばわかるでしょう。

一段下がったところにそれぞれのトピックに対する返信を宛てることができますので、タイムラインに話題が入り乱れるということがありません。

その他、あんまり言及されない利点をあげてみます。

1.個人への連絡が素早くできる
職場の人に連絡しようとする場合は、とりあえずSlackを開けばいいだけです。↓の写真のようにダイレクトメッセージを選んで連絡すべき人を選択しさえすればすぐに個人あてに連絡ができます。

え?カカオトークだってそうじゃないの?と思うかもしれませんが、カカオトークの場合は登録されているのが職場の人だけではありません。私の場合数百人の人が住所録に登録されています。その中である特定の一人を選んでメッセージを送るというのは結構面倒です。

※例えば「佐久間司郎」という同僚がいたとして、その人だけに個人メッセージを送るとします。カカオトークだと名前で検索をしますよね。でも検索欄に「佐久間司郎」と打ってもヒットしないことがあります。それはその人が名前をどのように登録しているかによって変わってくるからです。「佐久間」「さくま」「SAKUMA」などのいくつものパターンがありますが、時にはニックネームで登録している人もいるので、目当ての人を検索するだけでも結構時間がかかってしまうのです

またグループトークでも同じです。例えばある業務に関与しているA、B、Cさんだけに連絡したい場合、チャンネルを作っておけばすぐに限られた人にだけ連絡したり情報を共有することができます。とにかく、連絡に要する時間が短くなるということですね。

2.スマホでもPCでも同じように使える
職場にいるときはスマホよりもPCでSlackを使います。一度お気に入りに登録しておけばスマホでもPCでも同じように使えます。

え?カカオトークもPCバージョンあるじゃん?というのもごもっともなんですが、カカオトークのPCバージョンは表示内容がスマホと同一とはならないんです。

一週間くらいPC版でメッセージを確認しなかったら、1週間後にPCを開いてもそのときのメッセージは表示されません。あくまでもカカオトークのPC版はスマホ版の補助なんですね。

また、例えばスマホなどの端末を新しくした場合、それまでのタイムラインでのやり取りは全部消えてしまいます。Slackはそんなことは全くありません。スマホとPCで見えるものが全部同じです。

3.既読の確認ができる
私は役回りとして上からの伝達事項を他の教員に伝えるという仕事があるのですが、時として必ず全員が確認しないとあとで大変なことになる内容のものがあったりします。その時は「必ず全員既読確認をしてください」と伝えます

簡単に言うと、↓の写真のように上げた内容に対して絵文字で「既読した」ということを宣言することを指します(親指を立てているところを長押しすると、誰が確認しているのかが個人名もわかります)。

え?そもそもカカオトークだったら「見ただけで既読サインが出るのでは?」という意見もあることでしょう。しかしカカオトークのグループチャットにおける既読サインは、第一に誰が既読したかということがわかりません。また第二に、メッセージを開いただけで既読サインが出てしまいます。つまり、本人が内容に目を通していないとしても、メッセージを開いてしまったら実際読んでいるか読んでいないかにかかわらず既読になってしまうのです。

問題はメッセージを開いたかどうかではなくて、その内容を理解したか?ということですよね。Slackの絵文字機能を使って既読宣言をすることによって、あとで「伝えた、伝えていない」といった無用な争い?を避けることができるのです。

4.過去の投稿をURLで指定できる
これが意外と便利です。一つ一つのメッセージをわざわざキャプチャとかしなくても後ほど引用できるんですね。

例えば何かメンバーから疑問や質問が出た時には、「それはここに書いてあるんで参照してください」というコメントとともにURLを貼り付けとけばいいんです。

カカオトークでは当然それはできません。過去の投稿に遡って、画面キャプチャして、それを貼り付ける、という作業が必要になります。

イマイチな点

ただやはり完璧なツールというのはないもので、ちょっと困ったこともいくつかありました。

1.見逃しが多い
新たなメッセージが投稿されているのに長時間それを見逃してしまっていた、ということが数回ありました。管理者の私ですらそれですから、ただのメンバーの人はもっと多かったと思います。

新たなメッセージが来ればスマホにその都度通知が来ます(通知のレベルは設定で変更できます)。でもなぜ自分は見逃していたのだろうか?と考えてみましたが、その理由がわかりました。それはおやすみモードにあります。

おやすみモードは「ある特定の時間(普通夜間ですね)通知をオフにする機能」です。確かデフォルトでは21時から8時まではおやすみモードになっているはずです。私は夜間や休みの日はできるだけ仕事をしないので、当然この機能を使っていたんですが、おやすみモードの間に投稿されたメッセージに関してはおやすみモードが解除される時間になっても通知がされないのだと思います

おやすみモードが解除される時間にまとめて通知してくれる機能があれば良いのですが。

また、私が新たなメッセージを「長時間」見逃してしまった理由としては、Slackを職場での人々との交流だけに使用していたからというのが大きいと思います。

例えばカカオトークのような汎用的な人間関係に使うツールの場合、仮に職場関係のやり取りを見逃すことがあっても、何かと開く機会があるので、見逃していたメッセージがあっても「長時間」見逃すことにはならないわけです。

2.メンバーへの使用方法の周知
カカオトークからこのSlackに切り替える時、職場の同僚から反発が出るのではないか?ということを常に考えていました。

ちょっと使えばそれほど使用法は難しくないのですが、この「難しくない」というのは主観的なもので、やはりあまり機械に慣れ親しんでいない人にとってはちょっとハードルが高いんですね。

なので、最初の時期に使い方の簡単なレクチャーをしたのを覚えています。幸い我々の業務はそれほど細分化が進んでいないということと、上意下達の伝達事項が多いため、メンバーが何か投稿する際には基本的に#Generalに投稿すれば事足りることが多かったからだと思います。

フリープラン大丈夫?

フリープランで使っていますが、あまり不便なことはありません。フリープランの一番のネックは「過去1万件の投稿にまでしか遡れない」という点ですが、半年ほど使って確認してみたところ約1,500件の投稿がなされていました。

我々の使い方で1年3,000件ということは1万件になるまでに3年くらいはかかるわけです。3年前の投稿なら見られなくなっても良いんじゃないかな~と思いませんか?

過去の投稿が見られなくなるのが問題になるような環境でしたら、3年に一度新たなワークスペースを作ればいいだけです。過去のワークスペースはそのままにしておいて。3年も経てばまた新たなサービスに移行するということも考えられますしね。まあとにかくフリープランでも全然使えるということです。

ファイルの保存場所は別媒体に
また、我々は教員間で授業資料の共有というのもやっています。基本的にファイルを置く場所はクラウドに設定して、もし全員にそのファイルを周知する必要がある場合にはそのクラウドからURLを取得してSlackに貼り付けるという方法をとっています(ちなみにOnedriveを利用しています)。

もし仮に投稿が1万件を超えて「過去のファイルに接続できなくなると困る」という状況があるのでしたら、このように元ファイルの保存場所を他の媒体にしておけば、特に問題はないかと思います。

もちろん一過性のファイル(つまり、今参照すれば良いだけのファイル)はSlackに貼り付けます。

まとめ

今回私がこれを導入した背景には、新たなツールも使っておかないと時代に取り残されるかもしれないと危惧したからということもあります。Slackは利用者も増えてきているみたいですしね。

特に管理者的な立場の人は「周りが使えないから、機械に弱いから」という理由だけをもって過去のツールだけの利用にしてしまわない方がよいかも、と思います。管理者が引き上げることによって、その他のメンバーも引き上がっていきます(強制的に引き上がらざるを得ない)。時々使用するツールのアップデートが必要です。

※これをお読みの人の中には「え?Slackってそんなに先進的なツールだっけ?」という方もいらっしゃることでしょうが、ある種の人々にとってはこれは非常に先進的なツールですし、それへの対応に相当の努力を要する人もいます。特に管理者的な人はそのことは忘れないほうが良いと思います。

以上、日本語教員間でのコミュニケーションにSlackを導入してみた際に感じてみたことをつらつらと書き連ねてみました。

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