おもしろい!日本語学習クイズゲームイベントMarugoto Match!

投稿者: | 2020年2月26日

私の所属する機関では、現在授業を受けている学生を対象にしてスピーチコンテストを開いていました。で、今年もやろうということになったのですが、聞いてみるとその大会は「そんなに盛り上がらない」ということでした(私は1年前からここに勤めていますのでよくわかりませんが)。

だったら他のイベントに変えましょうということになり、私は以前Twitter経由で知った「漢字ふりがなコンテスト」はどうか、と提案しました。

日記:校内漢字ふりがなコンテスト(学びの牧場)

最初はそういった私のテキトーな提案から始まったのですが、担当のA部さんという人が、私の提案をさらに発展させておもしろいクイズゲーム大会をアレンジしてくれました。私はこの大会の仕込みや運営にほとんど絡んでいませんが、結果として非常におもしろいものができたので、ここで紹介させていただきたいと思います。

ルールと例題

タイトルはMarugoto Matchです。なぜなら私の職場では「まるごと」を使った日本語クラスを運営しているからです。

・個人戦ではなく、3人一組のグループ対抗です。
・一組あたり問題を10問解いて、その総合点を競います。
・当然総合点が高いグループが優勝です。

では、どんな問題が出るのか見ていきます。

↑答えは「くるま」ですよね。3人一組で、「く」「る」「ま」と一人一字ずつ書きます。もちろん3人はグループですが、相談はできませんし、何を書いているかを見ることもできません。もし仮に「く」「ろ」「ま」と書いた場合、「ろ」は正答ではありませんのが「く」「ま」は合っているので、その分の点数は入ります。

↑これも同様です。①の人は「東」②の人は「南」、③の人は「西」と書けば、20点×3=60点がもらえます。ひらがなで書けば1つ10点です。これも同じグループの人と相談することはできません。

スライドの中に「オーディエンス使ってください」とありますが、これは自分たちが出した答えがあっているかどうかを観客に問うことができるという機能です。観客は○か✕かのカードを掲げることによって自分の考えを提示します。もし✕が多ければ、出場者は一度に限り答えを書き直すことができるというものです。観客も参加させるという工夫が入っています。

(すみません、さっきからスライドがずれているのはパワポで作ったものをGoogleスライドで開いているからです。本当のスライドは普通にきれいです。)

↑これは3人で相談して一つの答えを書く問題です。□に入るのは「に」ですね。「に」が入ると、「あに」「にほん」「にんぎょう」「くに」と4つの意味のある単語ができます。

他にも、「ある言葉に関係する言葉を時間内にたくさん書く問題」「箱の中に手を入れて、その中にあるものの名前を答える問題」「一人にだけ動詞を見せて、そのジェスチャーをさせ、残りの2人がその動詞を当てる問題」など、さまざまな種類の問題ができました。

イメージをしやすいように実際の写真を添付します。

↑大きなスクリーンを背にして出場者三人が観客の方を向いて座っています。スクリーンは観客が見る用です。出場者の前にはそれぞれタブレットPCがあり、出場者はそれを見るようにします。各出場者の横には衝立があり、それぞれの答えが見えないようになっていますが、この問題は相談して一つの答えを出す問題ですので、三人で話をしています。

↑これはそれぞれが答える問題です。答えはホワイトボードに書いて観客や司会者に見えるようにします。ちなみに豚のぬいぐるみは、オーディエンスを使うときの合図です。

学習とのリンク

ここまで、どのように進行したか、どのような問題が出たかを見てきましたが、これをご覧の方の中には「問題がかんたんすぎるのでは?」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

それがこの大会の肝です。実はここで使う問題は授業で使っている教科書に準拠しているのです。具体的にいうと、上の例題は「まるごと入門」の教科書に出てくる内容で、出場者も今現在この授業を受けている学生に限っています。

つまり、この大会に出場することで学習内容への理解が深まるという仕組みになっています。実際、出場する人たちには前もって出題範囲を明確にした資料を渡しておいたとのことです。

もし「日本語を学習している人すべてが対象」にしてしまうと単純に日本語能力の競争になってしまいます。また3人一組にすることによって「個人技では勝てない」ということになります。よく考えられていますね。

反省点

非常によく考えられていておもしろいクイズゲーム大会になりましたが、いくつか反省点が出ました。一番大きな反省点は、

一度に1組しかできないので、時間がかかる。

ということと、

レベルごとに問題を考えるのが大変

ということでしょうか。これは、一度に3チームくらいを前に出して時間差なしの対抗戦にすることで解消することができると思います。

あとは、タブレットPCの問題です。

上の写真で見せたように出場者それぞれにはタブレットPCで問題をみせるようにしました。そこには出場者用のスライドがあるのですが、そのスライドの動かしは主催者側でしました。つまり一々3台のタブレットを出場者の裏に回って確認したり操作したりしたわけです。これは非常に手間でした。

解決策としては、3台のタブレットをZOOMにつなぎ、主催者側でスライドを画面共有することによってスライドを動かす、というような方法があると思いました(ただ、通信上のトラブルを考えると二の足を踏みますね)。

それ以外には出場者の前方に少し大きめのスクリーンを用意しておいて出場者はそれを見る、という方法もあると思います(もちろん観客からは目障りにならないところにおく)。3人の出場者それぞれに違うスライドが提示されるわけではないので、端末を3台用意する必要はないわけです。

※追記:2020年7月22日
例えばwhiteboard.fiのようなツールを使えば、この手のクイズ大会はスムーズ、かつわかりやすく進められるかもしれません。


まとめ

というわけで職場で実施したMarugoto Matchについて紹介しました。最初にも述べましたが、これを企画運営したのは我が職場のA部さんという人で、私は1%くらいしか関与していません。

ですが、実際に運営側として少し関わり、非常におもしろいと思ったのでここで紹介させていただきました。同じ教科書(指定教科書など)を使う中等教育などでは、おもしろいイベントが開催できたりするのではないかと思います。

ちなみに、このやり方は↓のテレビ番組から着想を得たようです。これを実現したわけですね。

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