組織としての準備 オンライン日本語コース(1/2)

投稿者: | 2020年4月29日

皆さま、オンライン対応お疲れさまです。なかなか慣れないことなので大変ですよね。私も苦労しているうちの一人です。

ネット上ではそれぞれのオンライン対応についていろいろな実践報告や意見などが寄せられていますが、「自分の授業をどうするか」というのが多いと思います。

もちろんそれはそれで重要なことなのですが、もし組織で働いているのであれば「そこに至るまでの段取り」が重要になってくると思います。下のリンクではそのことがガッツリ述べられています。

オンライン授業は「組織ぐるみの準備」が7割「実施」が3割!:出たとこ勝負の「むごいオンライン授業」を避けるための7つのポイント(NAKAHARA-LAB)

一部引用すると、

教員個人が「オンライン授業をどのようにするか」も大切なのですが、それ以前に、オンラインの成功失敗は、組織ぐるみで「学習者、授業者の事前のレディネスの確保」をどの程度行っていけるかどうかに、かなり左右されるのではないか、ということを強く思うのです

まさにそのとおりです。

そして、ここ一ヶ月以上私がやってきたのがそれでした。今日は組織としてのオンライン対応をどのようにおこなってきたのかについて書き残して置こうと思います。長くなるので2回に分けます。今回はオンライン対応のうちの事務的局面について。

働いているところ

私はカンボジアの日本語教育機関で働いています。国立の機関なんですが、イメージとしては民間の語学スクールのようなところです。大学生がコアな層ですが、中・高生から社会人までさまざまな人がさまざまな理由により日本語を勉強しています。

授業時間は1コマ90分で、週2コース、週3コース、土曜日コースなどがあります。学期は半年で、40〜60回くらいの長さです。学習者は学期が始まる前に1学期分の学費を前払いで全額納入し授業を受けるというシステムです。各学期の受講生数は500名程度です。

状況

3月の半ばからオフライン授業ができなくなりました。しかし運良くこの時期は学期の最終段階でしたので、最後の試験をオンライン試験にすることによってなんとか切り抜けました。

その後、本来であれば一月ほど準備をして新学期開講に向けて準備をするわけですが、この3月半ばの時点ではオフラインで授業ができるかどうかは不透明なので、新学期への準備はオフライン、オンライン両方に対応できるように進めていくことにしました。

当初、開講は4月半ばでしたが、カンボジアのいろいろな状況を鑑みた上で新学期の開講は5月から、としました。さあ、ここからがこの記事の本題です。

オンライン登録

本来であれば、学習者たちは学校へやってきて次学期の登録をおこないお金を払ったりするわけですが、そもそも職場自体がテレワークになりましたし、学生たちは学校に入れない状況になってしまったので、それができません。

そこでおこなったのがオンライン登録です。…とは言っても特に珍しいことではなくて、Googleformを用いて「来学期の授業を受けたい人はここで登録をおこなってください」とアナウンスをするだけです。

このオンライン登録で学生を集めました。集まった学生の数は、いつもの半分くらいでした。まあそれは致し方ないかなと思いますし、むしろこの時期のいろいろな条件を考えると健闘したほうだと思っています。

とにかくGoogleformを用いたオンライン登録で、学習者の確保をおこないました

決断

4月17日(金)に「今学期の授業はオンラインにします」というアナウンスを出しました。この日には必ず「オンにするか、オフにするか」の通達を学習者たちにおこなおうと内部で話し合っていました。「オンにせよ、オフにせよ、とにかく17日にアナウンスを出す」ということで逆算してどちらの準備もおこなってきたということです。

この日に出したアナウンスには、「オンラインでいきます!」だけではなくて、事後の様々な情報を載せておきました。

・授業料(いつものオフラインより安く設定)
・支払いの方法
・使うツール
・授業の説明(オンラインにしたことにより新たなコースを設定したため)

この事前準備は結構大変でした。2つの場合(オンとオフ)を想定して2つの準備をおこなうわけですから。一つは必ず無駄になるわけです。しかし、ここで決断をしたことで、それからの作業はクリアになりました(業務量は半端ないですが)。

支払い

オンライン登録の時点では、名前や連絡先を登録するだけで支払いは要求しませんでした。だから「オンラインになりました」とアナウンスした時点で、「オンラインは嫌だな」と思う人もいるとは思いますが、そう考える人は登録済みであっても支払いをしなければ良いだけ、というシステムです。

反対に「オンラインでも日本語習いたい!」という人は支払いが必要になります。これが非常に大変でした。というのは私の職場ではこれまでオンライン決済をやってこなかったのです。クレジットカードはおろか、学校内での現金支払いのみでした。

しかし「学校内での現金支払い」を実行できる状況でないことは誰の目にも明らかでした。そこで学校の事務方が動いてくれ、なんとか「振り込み用の銀行口座」を用意することができました。

①学習者は決められた口座に決められた金額を送金する。
②その際の控えを学校のFBページに送る。
③登録リストとその控えを照合し、その学習者を「支払い済みリスト」に加える。

というような流れを決めました。

LMSとしてのFBグループ

FBページは対外的なものですから、広報や情報の伝達には向きますが、それぞれの授業で学習者を管理するのには向きません。

そこで次におこなったのは支払いを終えた学習者をFBグループに送り込むことです。

LMSとして何を使うか、ということをいろいろ考えました。Googleクラスルームが一番に思い浮かんだのですが、「初めての試みが多いので講師も学習者も使い慣れたものが良いだろう」ということで、Facebookグループを使うことにしました。

・Facebookアカウントはほとんど全員が持っているし使い慣れているため使用法についての指導が必要ない。
・そもそも大学のようなところではないので課題の提出も多くない。

というのが大きな理由です。FBグループをLMSと呼ぶのはどうかとも思いますが、とにかく担当講師と学習者が簡単に連絡を取る方法としてこれを採用しました。

FBグループの盲点

支払いの確認はFBページでおこなうため「学習者をFBグループに送り込むのは楽なもんだ」と思っていました。が、ここが盲点でした。

FBグループというのは、「友達」のみ招待できるのです。

授業を受けようとする学生はほとんど「友達」じゃありません。だから(「友達」にならないのであれば)彼らをグループに放り込む方法は1つしかありません。

・支払いの確認をおこなうメッセージのやりとりの中で、各グループのURLを貼り付け、「ここに参加してください」と伝え、本人からの参加を促す。

もちろんFBページに各グループのURLを貼り付けておいて「支払いが終わった人から各グループに参加してください」とアナウンスをすることもできますが、

・コースの数は10以上あるので、自分がどのコースかよくわからない人もいる。
・間違ったコースのグループに参加すると後が面倒。
・支払いを終えていない学生もグループに参加してしまうかもしれない。

という諸々の理由から、「メッセージでの個別対応」という形をとりました。

しかしこれは非常に大変な作業でした。お金を払った学生すべてを適切なグループに誘導しないといけないわけですが、本名とFB上での名前が違っている人も多いし、こちらがグループへの参加を促しても参加してくれない(おそらく忘れている)人もいますからね。

授業が始まったら学習者との相互交流方法はFBグループのみになりますので、絶対にここに漏れがあってはいけません。

ここまでのまとめ

授業を始める前の事務手続きの諸々について書いてきました。これ、半端ない作業量です。

というのは今まで組織としてオンライン化をやってこなかったので、結局全部手作業なんですね。受講のためのシステムがあるところだったら、自動化できるわけですけど、それが何もできないのです。学生一人一人とメッセージのやりとりをおこなって、質問に答えて、支払いを確認して、グループに誘導して…。

次に同じことをやれ、と言われればもう少しプロセスは簡略化することはできると思います。しかし、今回大変だったのは「どう転ぶかわからなかった」ということだと思うんです。先が見えない中でいくつものケースを想定しつつ準備をおこなうのだから、このくらいはしょうがないのかな、と思います。

あ、もちろんこの作業を私一人でやったわけでははありません。むしろ学習者一人一人への対応を含めたほとんどの作業は一人の事務スタッフがやってくれました。しかし大きな方向を提示するのは私で、私の決断により彼女の仕事量も増減するので責任は重大です。そしてもちろん私ができる部分は最大限手伝いました(クメール語でのやりとりとかお手上げですからね)。

苦労して、苦労して、ここまで来てやっとスタート地点に立てることになりました。「アナウンス→登録→支払い→クラス分け」しかしていないんですけどね。

おまけ

ただ、あんまり顕在化しないのですが、よく考えて見ると私たちの蒔いておいた種が有効に機能しているということにも気づきました。以下のものは過去数ヶ月の間に準備しておいたものです(もちろん、今回のこのような事態が起こるなどとは当然考えてもいなかった)。

・FBページの作成
・オンラインプレイスメントテスト
・事務スタッフの採用
・最新のタブレットPCの購入

もしこの上のどれか一つでもなかったとしたら、ここで書いた準備はその10倍以上大変になっていたことでしょう。大変な面ばかり強調されますが、過去の自分が今の自分を助けていることもあるんですね。

次のエントリーでは組織としておこなった授業の準備についての試みについて書きます。↓をクリック。

組織としての準備 オンライン日本語コース(2/2)

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