意識高い系日本語教師のみなさんこんにちは!今日もSNSに投稿する写真にさりげなくブランド物を入り込ませていますか?
10月31日にアンコールワット日本語教師会が主催した「作文指導法セミナー」に参加してきました。
講師は笈川メソッドで有名な笈川幸司先生です。
現在「第五回・世界の日本語学習者《日本語作文コンクール》」の参加者を募集しているようです。笈川先生はこの事業にが深くかかわっているということもあり、世界中のいろいろな場所で作文セミナーをされているようです。
このコンクールは「日本語を勉強し、研究している「外国籍の人」は、誰でも応募できます」ということで、非常に入口が広く太っ腹な企画です。ぜひ、みなさんも日本語を勉強している人々に共有してみてはいかがでしょうか。
さて、今日はこのセミナーを受けて得たことのうちの以下の2点だけ、皆さんと共有したいと思います。
・わかりやすいスピーチ原稿・作文の書き方
・ 再考したい笈川メソッドの「型」
わかりやすいスピーチ原稿・作文の書き方
作文の書き方というと日本語母語話者の人が真っ先に思いつくのは、
起承転結
ではないでしょうか。しかし笈川先生はこれを一蹴します。いや、一蹴というか、概念は理解できてもこれに則って文章を書くのはなかなか難しいですよね~ということでした。それで笈川先生が主張するのが、以下です。
①ネガティブな話からスタート。
②出会い。でも順調にはいかない。
➂ターニングポイント。やっとのことで価値観が変わる。
④明るい未来。
いや~これはわかりやすい。①~④を単純な話に落とし込むと…
①日本語教師としてデビューするが、まったく授業がうまくいかず、学習者からはクレームの嵐。先輩には叱責され、職場に足を踏み入れるのも嫌になる。
②拠り所を見つけようと、大学時代勉強した本、ノートを押し入れから引っ張り出す。「教え方の本」などを読み、過去のノートを読み込むがなかなか授業は改善されない。
➂ある時、ふと大学時代の先生の言葉を思い出す。「日本語教育の現場に必勝法はありません。教え方の王道もありません。大事なのは、クラスの環境や、学習者一人一人をよく観察し、その都度その都度「考える」ことです」。自分は「ノウハウ」や「良い教え方」ばかりを気にしていて、学習者を見ていなかった。それ以降「一人一人を観察し、授業をどうするべきか、自分の頭で考える」ことを始めた。そうしたら、徐々に授業がうまくいき、学習者からの信頼を得られるようになってきた。
④それから十数年が経ち日本語教師としてのキャリアも積んできたが、ときどきスランプに陥ることもある。そんな時は大学時代の先生の言葉を思い出し、「一人一人について考え、自分の頭で考える」という基本に立ち返っている。これからもきっとうまく行かなくなる時があるだろう、でも基本に立ち戻るということを忘れなければ、なんとか山を乗り越えられるはずだ、と思っている。
…だいぶ過去のことを書いているので最後の④の辺りがパッとしませんが、①~④に沿って書くと、だいぶ簡単に書けるような気がします。これで話の根幹を作って、あとは肉付けすれば、そこそこ聞くに耐える話を誰でも書けるのではないでしょうか。そして素材がよければ、さらに素晴らしい話になるはず。
ただ、笈川先生もおっしゃっていましたが、
いちばん大切なのは情熱
です。私もそれに同意します。情熱っていうと、気恥ずかしい感じもしますが、やはりスピーチにせよ作文にせよ「これを伝えたい」という気持ちがないとおもしろいものは書けないですよね。
とにかく、①~④は書き方の鉄則としてはすごくわかりやすし、適用しやすいと思います。
再考したい笈川メソッドの「型」
セミナーではそのほかに「小論文の書き方」なども教えてもらいましたが、これも120%納得しました。ただ、あまりネタばらしをするのもあれなので、これくらいにしておきます(笑)。私が個人的にむむっと思ったのは笈川先生が前からよくやっていらっしゃる「型」を使って話す練習をする部分です。
今回は作文セミナーだったのですが、最初のアイスブレイキングとして、この「型」を利用した口頭練習を少しやってくれました。
これは私も以前に中国で笈川先生の特別合宿に参加したときに見てきたものなので知ってはいたのですが、最近興味が出てきた「流暢さを伸ばす練習」として再考したいと思うに至りました。
「型」についてご存じない方に簡単に説明しますと、例えば「あなたの趣味は何ですか」という問いがあったとして、
①私の趣味はサッカーをすることです。
②私の趣味はサッカーをすることです。週末に友だちと集まってやります。
➂私の趣味はサッカーをすることです。週末に友達と集まってやるのですが、汗をかいたあとに飲むビールは最高です。
④私の趣味はサッカーをすることです。週末に友だちと集まってやるのですが、汗をかいたあとに飲むビールは最高です。また家で本を読むことも好きです。
…うまく表現できませんけど、とりあえず短いものから長いものへ発展していって、そして内容も自分の状況に合う言葉に変えて、何度も何度も話してみるというやり方です(ざっくりとした私の理解なので本質をついていないかもしれません)。
ちょっとよくわからん、という人は↓の投稿をご覧ください。
前からこの方法にはとても興味があったのですが、それを普通の授業の枠でどう扱うべきか、どう当てはめていくかがよくわからなかったんですよね。
ですが、以前勉強した、Nation氏が提唱する「言語学習に必要な4つの要素」の「流暢さを伸ばす練習」に当てはめていくと、この「型」練習が違和感なく既存の授業にフィットするのではないか、と思ったのです。
■Nation氏が提唱する「言語学習に必要な4つの要素」とセミナー
現在世界中でおこなわれている日本語授業は「言語形式の正しさに焦点をあてた」練習や「意味の伝達に焦点をあてた」感じの活動が多いと思いますが、「流暢さ」にフォーカスする活動も増やしていかないといけないと思うんですよね。その活動の一つとして「型」は有効なんではないだろうか、とセミナーを受けながら一人考えていました。
流暢さを養成する活動に関しては、今私がもっとも興味のある分野の一つですので、そのうち活動例などをまとめてみたいと思っています。
まとめ
というわけで、6月に引き続笈川先生のセミナーに参加した感想を書いてみました。
6月のセミナーでもいろいろ気づきがありましたけど、今回もそれと同じかそれ以上に気づきがありました。もし気になる方がいらっしゃいましたら↓もご覧ください。
では、さようなら~