日本語教師 海外に行く前にしておく行政手続き

投稿者: | 2022年7月21日

ここではタイトル通り、海外に赴き仕事を始める前の日本側での行政手続きについて書きます。

私はこの18年ほど断続的に海外にいますが、日本側の事務手続き、行政手続きで色々学んだことや悩まされたことがあります。そもそも日本に普通に住んでいたら考えることすらないことばかりですから。。。

基本的にこれから書くことは、日本の会社とかからの派遣ではない場合です。会社の転勤の一環として海外で勤務する場合はまた状況が違うと考えられます。ここで念頭に置いているのは、自分で仕事を見つけ、現地で採用される場合です(もちろん日本からの派遣でも同じ場合もあります)。

それと、思い込みや思い違いがあることも十分考えられます。記述には慎重を期しますが、裏をしっかりとっているわけではありませんので、その辺りはご了承ください。

住民票

多分、最初に考えるのが住民票はどうしたらいいんだろうか?ということでしょう。海外でまとまった期間居住する場合は海外への転出届を出すのが普通です。役所に赴き、国内の市外転出と同じように届出を出します。新住所は国名を書いておけばOKです。

海外転出をすると・・・
・国民健康保険(国保)から脱退するので保険料を払わなくてよい
・国民年金は加入してもしなくても良い
・在外投票ができる(転出届を出すだけではできないけど)

・住民税の支払い義務がなくなる

などの利点?があります。

逆にいうと、住民票を動かさなかったら、国保や国民年金の支払い督促がきてしまいます

もしすでに国保や国民年金に加入している場合、役所で転出届を出すと、そちらの脱退手続きに案内してもらえますので、流れに沿って手続きを行います。

ちなみにマイナンバーカードをもっている場合は、それに「転出済み」というハンコを押して返してくれます。カード取り上げにはなりませんが、転出処理をすると使えなくなるようです。そうやっておくと次に転入した際には無料でカードを作ってくれるそうです。ただし、作る際にかかる時間は新規の場合と同様とのことです。

国民健康保険

海外にいるときに日本の病院に通うことはありませんから、だったら住民票を海外転出にして国保からの脱退手続きをしておくのが普通でしょう(書類を揃えれば還付を受けられる制度もあるそうですが、よくわかりません)。ていうか「海外転出をしたけど国保には残る」ということはできませんので、「住民票を抜く=国保からも脱退する」となります。

そうなると困るのが一時帰国の時なんですよね。日本に帰ってきても国保は使えませんので、もし医療機関にかかるとなれば、全額自己負担になってしまいます。だからまとまった期間一時帰国する場合は短期でも住民票を入れる人などもいます(これについては後述)。

これが海外在住時に最も悩ましい部分ですね。私一人なら短い一時帰国のときに病院に行くこともあまりないでしょうが、子連れとかになるとちょっと不安な面もありますよね。住んでいる国で海外旅行保険に入るということも考えたことがあるんですけど、「日本人が日本に旅行するときは加入できない」という話も聞いたことがあります。とにかく住民票を抜く上で最もネックになるのが、国保への加入問題かと思います。

あとですね、健康保険は何も疾病や怪我の時だけ使うわけではありません。例えば、出産をすると出産一時金がもらえますよね。あれも当然国保に加入していないともらえません。逆にいうと、どこで出産しようと、国保に加入してさえすればもらえます。私の周りでもそのあたりをうまく利用して一時金をもらっていた人がいました。

ちなみにですね、仮に国保脱退の手続きをしないで放置していた場合、あとで未納分を払わされることになるという原則があります。実は私、若い頃これをやってしまいました。しかし、途中で気づきまして、一時帰国のときに転出処理をしました。よく調べてみると「2年前の分まで遡及し請求する」というルールがあるみたいで、その後2年以上国保には再加入しませんでしたので、未納分はチャラになりました。早く気づいておいてよかったです。

なぜ私が放置していたかと言いますと、出国前まで働いていたからなんです。つまり企業の健康保険に入っていたんですが、その職場を辞めてすぐに出国したので国保に加入しているという実感がなかったのです(実際国保加入の手続きもしなかった)。

しかし日本は皆保険ですから、企業の健康保険から外れると自動的に国保に入ることになります(使うためには手続きが必要ですが)。原理的には私がそのことを忘れていた場合、次に私が国保加入の手続きをとった際に未納分を2年前まで遡って請求することができます。実際にそういう請求があるかはわかりませんが・・・

ある筋の情報では、その期間に海外にいたことが立証できれば免除になるそうです。まあ立証する方法としてはパスポートのスタンプ日付になりますよね。行政は血も涙もないことが多いので、できるだけルールに従って動くのが良いでしょう。

国保の脱退手続きをすると、納付状況を調べられて差額を払わされます(多く払っている場合は還付もあるかと)。その場で振込用紙をもらい、然るべき場所で払い込むだけです。国保は年金と違って、毎月の請求のされ方が複雑ですので、毎月ちゃんと納付している人でも精算が必要になると思います。

国民年金

国民年金は日本国籍者が海外在住になった場合には任意加入になります。つまり入っても入らなくてもどっちでもいいということです。

加入しないことを選んでも、その期間は受給資格期間にカウントされます。どういうことかというと、確か国保の受給資格は現時点では120ヶ月以上の納付だったと思いますが、海外在住期間はこの受給資格期間にカウントされるということです。しかし、もちろんお金を払っているわけではありませんから、期間にはカウントされても年金額としてはその分減額になります(というか加算されない)。

私はずっと任意加入をしています。納付の方法は2年先払いで銀行口座からの自動引き落としをしていますので、表面的には海外にいようが日本にいようがあまり変わりはありません。転出届を出すときに、「任意加入をします」という書類を書かされるだけです。

ちなみに、任意加入できるのは日本国籍者だけです。外国籍の私の妻は、配偶者ビザをもって日本に滞在しているんですけど、その間年金を毎月払っていました。でも海外転出になるので、年金の支払い義務はなくなりましたし、任意加入もできません。

妻の場合、7月分までを払っていたんですが、7月のうちに転出ということで、7月分として払ったお金は還付してくれるそうです。おそらく日本人が任意加入になっても、納付義務は転出の前月までということでしょう。

住民税

住民税は1月1日の時点で住民票がある自治体で課税されます。

ですので、12月31日までに海外転出をすれば、該当年度は課税されないということになります。まあ住民税は昨年度の所得に対しての課税ですから、もし昨年度に日本で所得がなければ、住所があっても課税対象にはならないです(よね?)。

ちょっとこれについては詳しくわかりませんが、原則としては上のはずです。

児童手当

家族みんなで海外転出をすると、当然児童手当をもらうことはできません。

ただし、親の一人が残る、つまり、片親と子供だけ転出して一方の親は残るとかいう場合はもらえるそうです。

家族みんなで転出する場合でも、転出の当月分は児童手当をもらうことができます。例えば7月1日に転出届を出しても7月30日に出しても、7月分まではもらえるということです。

銀行口座

日本の多くの銀行は海外在住になった時は口座の解約をしなければならないというルールをもっています。

そうでない銀行もあります。例えば私が口座をもっているソニー銀行などは海外在住になりますという届出を出せば、口座を維持することが可能です(しかし取引の一部は制限される)。

普通の人は完全に海外移住して一生日本に帰ってこないわけではないでしょうし、そうなると銀行口座を解約するというのは考えものです。

では、どうすればいいのか、先輩日本語教師であるマシローさんにこのあたりを聞いてみました。以下はマシローさんの個人的意見です。

基本的に海外に出るときには何もしなくていいです。わざわざ「海外在住になるんですけど」なんて銀行に言いに行く必要はありません。役所から「こいつは海外在住です」みたいな情報が金融機関に共有されることはありませんから普通にしていればバレません。

だから、私などもう数十年の間世界各国を渡り歩いて住民票の出し入れをしていますが、一度も問題に遭遇したことはありません。ただ、今はインターネットで銀行サイトに接続しますよね?あれはどこから接続しているのかすぐにわかります。もちろん日本在住の人が一時的に海外に出張に行って接続している可能性もあるわけですし、金融機関の方もそこまで厳しくはありません。

ただ、銀行によっては、海外からの接続が多いと否応なしに口座凍結というケースもあるみたいです。真偽のほどはわかりませんが、2020年前後にある銀行で「凍結祭り」が行われたという情報もあります。

ですから、私の結論としては「海外在住になったからと言って口座を解約する必要はないが、派手な動きは避ける。不要な接続はしない。」というが良いと思います。

…とのことでした。あくまでもマシローさんの意見ですので、ご了承ください。

短期での転入

というわけで、転出時の基本について書きましたが、もう一歩進んで転入のことに触れてみましょう。まあ転入はパスポートをもって役所に行けばいいだけ(入国日の確認のため)ですが、私が以前調べたのは短期での転入のことです。

例えば、一時帰国ですね。上述しましたが、転出してしまうと国保などが使えません。でもまとまった期間子連れなどで帰国するとやはり国保がないと不安だったりします。歯医者に通いたかったりしますし。あとその他もろもろの諸事情から転入したいこともあります。

色々調べましたが、短期の転入は自治体によっては断られることがあるそうです。これは自治体の判断になるそうです。以前Facebookなどで聞いてみたところ、「一月くらいの転入なんですけど」と言ったところ門前払いを食った、という人もいました。

そこで一つ疑問が生じたかと思います。「だったら転入する際に短期だということを言わなければ良いのでは?」という。確かにその通りです。転入届を出すときに「いつ転出予定ですか」と聞かれることは絶対にありませんから、一生その自治体に住むような顔をして転入届を出せばいいわけです。

ただですね、私が困ったのは子供がいたからなんですよ。

学校に通う年の子供がいる場合、転入届を出すと「あなたの子息が通う学校はここですので、手続きをしてください」と言われます。短期でも学校に通う場合はそれでもいいのですが、ほんのひと月ほどの帰省では学校に通わせないことも多いかと思います。そうすると、役所の人に「いや、短期の転入なんっすよ」ということを言わないと行けない状況が生まれます。

私も短期の転入の際に「学校の件ですが・・・」と切り出されたことがあります。その時はモジモジしつつも「短期の転入なので、学校には通わせないようにしようかと・・・」と勇気を出して言ったら、その担当者の人は「あ、そうなんですね。わかりました」と何事もないかのように短期の転入手続きをしてくれました。

つまり、私の手続きをした自治体は短期とか長期とかにこだわりがなかったということですね。まあラッキーでした。

それか、その時点では「わかりました」と言うかですね。事後、割り当てられた学校に電話して事情を説明すれば特に問題は生じないんじゃないかと思います。そんな話は聞いたような気がします。日本の場合、「子弟に教育を受けさせる義務」がありますので、おそらく一筆書かされるとかあるとは思いますが、多分それでもどうにかなるでしょう。

まとめ

と言うわけで、漏れはあるかとは思いますが、ここ数年の間に得たことをまとめてみました。

まず大きなポイントは住民票を抜くかどうかと言うことかと思いますが、やはり主な居住地が海外である場合には転出届を出しておく方が間違いはないと思います(もちろん人それぞれですけど)。

例えば、去年とか一昨年には在外邦人対象の新型コロナワクチンの予防接種事業などがありました(今もあるかな?)。その時、住民票が国内にあると、その事業でワクチン接種が打てません。まあ、そのかわりコロナ一時金とかはもらえたかもしれませんが。

とにかく在外でもワクチン事業のように享受できる利益もありますし、後で「実はその期間は海外にいたんですよ」という説明もしなくてもいいですしね(そう言う必要があるかどうかはわかりませんが)。

私も先日役所に行ってきましたが、最近は役所の人も本当に丁寧な人が多いなあと思います(私の住むところは)。職員の対応で気分を害すようなことは、ここ数年ではありませんでした。もう少し一連の手続きがスピーディーに進むといいですけどね〜

もし私の認識間違いなどがありましたら教えてください。

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