『Can-doで教える 課題遂行型の日本語教育』をXリーディング

投稿者: | 2024年7月2日

例によってXリーディング(本を読みながら記録をXにつけていく読み方)を行いました。

今回の本はこれ。『Can-doで教える 課題遂行型の日本語教育』

Xで少しずつ書いていたものを一気にテキストで貼り付けているので、みにくい部分もあると思います。もしXを利用されている方は↓の方から辿った方が見やすいかもしれません。

第1章 課題遂行型の日本語教育とは

文型シラバスの教科書を使ってきた人を読者として想定し、課題遂行型の授業とはどういうものかを概観している。

授業設計で必要なのは、
「目標」「授業の内容・方法」「評価」の3つが整合性を持つこと。課題遂行型の授業では「Can-do」がその柱となる。(p12、p27)

課題遂行型の授業では、その課題が遂行されることを目標に授業が行う。会話の場合、まず会話を練習した後で、それに必要な文法や言語知識を学ぶ。伝統的な方法とは逆だが、それが第二言語習得理論に合っているとのこと。(p27)

第2章 課題遂行型の授業設計1

「まるごと」がどのような構成になっているのか、またどういう意図があるのかについて解説されている(この章では特に「かつどう」)。

「Can-doは授業の具体的な方法を表すものではない」「Can-do」はwhatを提供するものですが、howを指南するものではない」(p35、36)

Can-doって耳障りがいいから多用しがちですけど、「目標を行動にすればそれが課題遂行の授業なんだよ」というわけではないということですね。

章の最後の方は、第二言語習得理論が「まるごと」でどう実現されているかが書かれている。やはり肝は「話すことは聞くことから始まる」(p56)でしょうかね。

「かつどう」では「同じ構造を持った会話を10回以上は聞くことになります」(p56)。
その後に、
「これ(10回)が習得のためのインプットとして十分なのかどうか、実はわかりません」(p56)

とあり、こういう記述はいいなあと思いました。

第3章 課題遂行型の授業設計2

この章では「まるごと」の「りかい」について詳しく説明している。
「りかい」は「コミュニケーション言語能力」の育成に主眼をおいているが、あくまでも、課題を達成するために必要な言語能力の育成であるいうことに留意したい。

教科書にある文法の問題などでは、学習者に答えを言わせたあとでみんなで正解の文をリピートするというような方法がよく取られているが、

「学習者は文を繰り返すだけで意味を考えなくなる恐れがある」

ということで、
・学習者同士の確認
・音声を使った確認
などが良いとしている(p76)。

言語知識を増やしても、必ずしもそれが運用力にはつながらない。知識を運用に結びつけるには、インプットが欠かせないがその際に必要なのは

・インプットするものが文脈化されていること
・豊富なインプット

話せるようになるためには「練習の際にも文字に頼りすぎないことが必要」(p85)

第4章 課題遂行型の日本語教育における学習評価

「まるごと」での評価の仕方が詳説されている。

「課題達成の評価は・・・(中略)質的な評価になるので、本来点数か、数量化することが難しい」(p99)。そのためには教員間などで知識等を共有する必要があるとのこと。

難しいのは、別に課題遂行型に限った話じゃないけど、「評価」と「成績」が=になりがちってことなんですよね。特に相対評価で成績をつけないといけない場合、「全員よくできたので全員Aです」とかにはならないわけで。

本来「学習評価」と「クラス内の序列」は一緒に扱うべきものじゃないんですよね。

第5章 課題遂行と異文化理解能力

異文化理解能力をどのように育てるか、について書いてある。なるほど、「まるごと」のあの部分にはそういう意図があったのか、と納得しました。ポートフォリオとかについても言及がある。

Display Question(決まった答えがある問題)とReferential Question(正しい答えがない問題)について書いてある(p134)。当然のことだけど意識しておくかどうかって大事ですよね。これとOpenかClosedかでマトリックスを頭で作って、戦略的に質問できるのがプロですかね。

第6章 課題遂行型の日本語教育

副題は「実践のステップ」ということで、著者らが「まるごと」を開発する中での「気づき」や「議論したこと」などがまとめられている(p154)。特筆すべきことがまとめられているの有益な部分だと思います。

p172の「レベル判定」という項。「A2」を勉強している人のレベルは「A1」なのか「A2」なのか疑問に思っていましたが、やっぱ「A2」のテストに受かった人が「A2」なんですね。まあ当然と言えば当然ですが。

誤解なきよう言っておくと、本文ではもう少し丁寧な言い方をしていますので、詳しくは本書を。

最後に

『Can-doで教える 課題遂行型の日本語教育』についてさらっと「X読み」をしてきました。

さらに知りたい方、もしくは「読むのダルい」みたいな方は↓こちらもお勧めです。有料級というかそもそも有料の講座です。

『まるごと』オンライン講座【アーカイブ無料公開】のお知らせ

ちなみに過去の読書記録にはこんなものがあります。

🔳『言語はどのように学ばれるか』をXリーディングした記録
🔳『協働が拓く多様な実践』を読みました。Xリーディングの記録
🔳『AI時代の冒険家メソッド』をXリーディングした記録
🔳「教師のためのChatGPTガイド」を読んだよ
🔳『日本語教師の専門性を考える』を少しずつ読んだ記録
🔳『学習者を支援する日本語指導法I 音声 語彙 読解 聴解』を読んだよ①
🔳『私たちはどう学んでいるのか』①スキルとしての言語

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