以下、私が研修時に受けて、狼狽した(笑)質問についての回答を掲載します。
11月20日の授業での質問について
選択問題の正答にならない選択肢のことを「錯乱肢(さくらんし/distractor)」と言います(研修の時はこの言葉が思い出せませんでした)。ご質問は「読解問題の錯乱肢を作るのが難しい、どう作ればいいか」という話だったと思います。
その後私もいろいろ調べてみましたが、「こうすれば良い錯乱肢が作れる」という具体的な方法はなかなかないようです。
いくつかの論文や本を参考にした結果、
・本文の内容と関連づける
・もっともらしさを持たせる
・生徒の誤解を誘導する
・選択肢の長さを揃える
・似た言葉や表現を利用する
・選択肢の文法と構造を統一する
・非選択肢を明確にする
というのが共通としてあるみたいですが、まあ、これは当然と言えば当然のことかと思います。特に有意義なアドバイスにはなりませんね。
ただ、ある読解の本(西隈俊哉(2020)『2分で読解力ドリル』GAKKEN)を見直してみて良いなと思ったのが、「正しいものを全て選べ」という選択肢の作り方です(さきほどグループに投稿した問題のことです)。
試験などでは4つ選択肢があるのが普通です。それは3つだと「まぐれ当り」が頻発する、5つ以上になると錯乱肢を作る手間が増えるということに起因すると思っています。なので、選択肢を3つくらい用意して、「正しいものを全て選べ」という問題を出すのは問題を出す人にとってなかなか効率の良い方法なのではないかと思います(正解の可能性としてはA、B、C、AB、AC、BC、ABC、該当なしの8つあることになります)。
日々の練習(授業)で負荷を上げておくと、本番(試験)の時は楽になります(答えは一つしかないから)。それはドラゴンボールでトレーニングの時重りをつけていた孫悟空が、試合の時に重りを脱ぎ捨て体が軽くなったと実感するのと同じですね。
また、さきほどグループで投稿した問題については、以下のような結果が得られています。
特に赤で囲んだところを見てください。正解した人が全体の70%、残りはAやBといった誤答を選んでいます(実は私も間違えました笑)。でも同じ誤答でもBを選んだ人は5%しかいません。ということはBはAに比べて錯乱肢としてあまり機能しなかったとも言えます(しかしパーセンテージが高ければ必ずしも良いかというのもまた別の議論になります)。
つまり、こういうのを見れば、どの選択肢が錯乱肢として機能したか、機能していないかが一目でわかります。こういうデータをとりながら少しずつ錯乱肢の精度を高めていく(来年使う時は別の錯乱肢を考えるなど)というのが現実的で良い方法なのではないかと思います。
あまり答えにはなっていませんが、以上です。