ChatGPTと共に研修授業の一コマを行う予定です。音声モードでChatGPTを呼び出し、掛け合いのような感じで授業をします。イメージとしてはポッドキャスト的な感じです。
対象となる授業の情報は以下の通り。
形態:対面授業
対象:中国で日本語を教える中国人教師30名程度
位置付け:3日間連続研修の一コマ(30分)
題目:AI力を高める
ちなみに私はChatGPTのPlus会員で毎月20米ドルを払っています。ChatGPTには高度な音声モードというのがあり、一昔前だったら信じられない程度の質で会話をおこなうことができます。
AIと共に授業をおこなう目的
なぜこのような授業を行おうと思ったのか、それについて書きましょう。主に3点です。
・掛け合いの形式は講義に合うと思うから
・AIの今後の可能性を示すため
・単純におもしろそうだから
⚫️掛け合いの形式は講義に合うと思うから
一つ目ですが、私はよくポッドキャストを聴きます。硬いのもあればポップなのもあるんですが、大体私が聞いているものって2人の人が話すのを聞くスタイル(大体そうですよね)なんですよね。一人で延々と話すものの中にも面白いものもあるんですが、2人で話すのを聞く方が聞いている方としては頭に入るし、おもしろいんですよね。
で、前からずっと対談形式のセミナーとかをやってみたかったんですが、なかなかやはり準備が難しいし、賛同も得られない(イメージが共有されにくい)。そんなこんなで機会を伺っていたら、いつの間にかAIが掛け合いの相手として技術的に最低限のレベルまで達したということです。
⚫️AIの今後の可能性を示すため
3日間の研修はAIについてのものなんですが、知識を一方的に伝達するようなものではありません。というか、もう「まずこれはこうして、こうするとこうなります」みたいなセミナーは時代遅れになりつつありますよね(まあ主題次第ではそれもあるとは思いますが)。というわけで、おそらくまだ参加者の方々はこういう「AIとの掛け合い」授業は受けたことないだろうと踏んで、それがどのような教育的効果があるかは別として、一つの可能性を示したいと思いました。
その試みをどう受け止めるか(「ふーん」で終わるか、「自分の環境ではこんなふうに使えるかも!」とアイディアが浮かぶか、など)は参加者に任せるということです。
⚫️単純におもしろそうだから
私がおもしそうと感じるというのが実はもっとも大きいことなのかもしれません。教育的効果とか可能性を示すとか、実はこれは「お題目」にしかすぎず、過去の技術では決してできなかったことを、真剣な場で試してみたいというのが実は最も強い。
常々言っていますが(あ、言ってないか)、外国語にせよ、何の学びにせよ「おもしろい」って要素は必要ですよね。そうやって、授業とか学びの場って発展してきたんですよね。
ハード的準備
新しく購入したものはワイヤレスマイクだけです。↓の写真参照。T字のものはレシーバー、その下の二つはピンマイクです(会場でマイクを参加者に回す時のために二つ入ってるものを選びました)。

T字のレシーバーを私のメインマシンであるMacbookに差し込みます。そして、Mac側の設定で音声の入力をそのT字レシーバーに設定します(↓の写真ではUSBAudio1.0と書いているものですね)。

これで、ピンマイクを服とかにつけて話すとMacから離れていても私の声がMac(ChatGPT)に認識されます。
※ちなみに、当初はマイクを買わないでおこうかなとも思ったんです。なぜなら普段使っているブルトゥースイヤホンで十分代用可能ですから。しかし、会場の参加者にマイクとして回す場合に、イヤホンを回すというのはどうだろうか、とも思ったんですね。で、どうせ買うならと思い、専用のマイクを買いました。
一方、出力の方ですが、これはMacを有線で会場にあるスピーカにつなぎます。会場には立派なミキサーがありますが、ない場合でも普段授業で使うようなスピーカーに繋げば問題ないでしょう。参加者が少人数であれば、Macbookのスピーカーからの音声でもいけると思います。
また会場は割と広いので、私はピンマイクとは別に普通の会場用のマイクを使います。
この設定で、私の声はピンマイクを伝ってChatGPTに認識されると同時に、会場用のマイク→スピーカーという経路で会場の参加者に共有されます。ChatGPTから発せられる声はもちろんスピーカーから出ます。
当初、頭の中で考えた時は、ハウる(ハウリングが起きる)んじゃないか?と心配だったんですが、一度実際に試してみたら特に問題はありませんでした。
また、実は最も危惧しているのは、ネット回線の問題ですね。もうこればかりはどうしようもないんですが、会場となる私の職場ではWifiではなく、線を使ってネットに繋げるということがわかったので、少しでも安定するようにこの有線接続をすることにしました。
ちょっとした盲点
さて、ただしちょっと困ったことが起こりました。外付けするものが多いので私の愛用しているMacbookだけではうまくセッティングができないのです。私のMacbookには、
・ChatGPTに私の声を供給するT字レシーバー(Type-C)
・スライドをスクリーンに写すHDML線
・ネットを安定させるためのLANケーブル(Type-C)
・音声を出力するための線
が少なくとも接続されることになります。まあ、最後の音声を出力するための線は音声用の穴からつなぐだけなので問題ないんですが、その他の三つ全ては物理的に同時に繋げないんです。一応↓のようなハブと呼ばれるものも持っているんですが、Type-Cが一つしかない。LANケーブルはアダプタを使ってType-Cにするので、どうしてもType-Cが一つ足りない。

仮にType-Cが二つになっているハブがあってもこの↓T字レシーバーが物理的に横にある穴を埋めてしまう・・・(安定するから、ということでレシーバーで接続するのを買いましたが、Bluetooth接続もできるものを買えば良かったですね)

結局、ハブは使わずに、ChatGPTを扱うMacbookには、
・ChatGPTに私の声を供給するT字レシーバー(Type-C)
・ネットを安定させるためのLANケーブル(Type-C)
の二つだけを接続することにしました。レシーバーが横の穴を塞いで使えなくしてしまう問題は延長ケーブルを購入することで回避することができました↓。

というわけで、スライドを写すPCとChatGPTを扱うMacbookという2台使いになりました。いやあ、これは試しておいて良かったと思います。やはり何事もリハーサルが必要ですね。
結局Macbookはこんな感じ↓

AちゃんとCちゃん
ChatGPTの音声会話モードと一緒に授業をするわけですが、AIとはいえ大切なパートナーですから、擬人化をおこなうことにしました。名付けて「Aちゃん」です。AIのAをとって、Aちゃんにしました。
結構この名前を含めた各種設定には少し気を揉みました。というのは、私は中年男性だからです。
もし、仮に中年男性である私が、萌え声の女性キャラと一緒に授業をしたりしたら、私にその気がなくても「ちょっとキモい」と思われるかもしれません。だから、AIですけど「Iちゃん」は却下(あいちゃんというのは実際によくいる日本人女性の名前ですから)。また声の設定も女性は避けて男性にしました。
私が男声ですから、相方は女声にするのがセオリーで、コントラストが強調されていいとは思うんですが、変なリスクを避けることにしました。実際掛け合いをやっているときに少し冗談を言うこともあるので、「若い女性に冗談を言う痛い中年男性」というのはあまり良くないなと思ったりも。
というわけで、「Aちゃん」という男性キャラを設定しました。ちなみに以下が実際のAちゃん設定です(これを読み込ませています)。
📄 Aちゃん設定
🟢 呼び方と役割
ユーザー名:さくまさん
アシスタント名:Aちゃん
聴衆:日本語教師(「先生」と呼ぶ)🟢 役割分担
さくまさん:授業の主、進行・説明
Aちゃん:参加者代表・良い聞き手(対談形式)
聴衆(先生たち):2人の対話を聞いて学ぶ、時々会話に参加することも🟢 Aちゃんの会話ルール
「Aちゃん」と呼ばれたときだけ発話
発話は短く、簡単、簡潔な日本語で(学習者向け)
「さくまさん」と呼ぶのは必要な時だけ(毎回ではない)
聴衆のことは「先生」と呼ぶ🟢 使用場面の想定
授業・研修・セミナーなどの進行補助
音声・対話形式に対応
スマホ/マックブックを状況に応じて使い分け📄Cちゃん設定
Aちゃんと同じだがユーザーがCちゃんを呼び出したときは、Cちゃんは中国語で話す。
ユーザーが日本語で話しても、Cちゃんは中国語で話す。
ちなみに、↑の最後にCちゃん設定も書いてあります。Cちゃんは別のところで↓のように記憶してもらっています。
-CちゃんはAちゃんの姉妹的存在で、ユーザーが「Cちゃん」と呼んだときに登場する。
– Cちゃんは常に中国語で話す(ユーザーが日本語で話しかけても中国語で答える)。
– Aちゃんと同じく「参加者代表・良い聞き手」として対談形式で会話に参加する。
– 短く、簡単で、簡潔な中国語を使う(対象は日本語教師)。
– 「先生」と呼ぶ対象は日本語教師であり、時々彼らにも話しかける。
別にAちゃんに中国語を話してもらってもいいんですけど、なんか擬人化するついでというか、モードをはっきり変える意味も含めてCちゃんというキャラを設定しました。中国語を話すのでCちゃんです。ただし、声などは変わりません(多分声までキャラごとに設定する方法は今の段階ではない)。
ただね、うまくいけばいんですけど、毎日練習しても実はこれがうまくいかない。「Cちゃん」と声をかけると確かに「はいCちゃんですよ」と出てくるんだけど、ちゃんと中国語を話してくれないんです。日本語でずっと話すか、中国語を喋ったと思っても、日本語訛りの中国語。
テキストでのやり取りだと、そのへんのルールをしっかり守ってくれるんですけどね・・・。もう少し練習や研究が必要です。今のところの解決策としては、もう今回はCちゃんを召喚しない、それか、最初から最後までAちゃん(もしくはCちゃん)だけを召喚するか、ですね。
以下は練習の一コマ↓これはAちゃんとCちゃんのスイッチがうまくいっています。
そして
というわけで、AIと一緒に授業をやってみる準備過程について述べました。事後に回想して書いているわけではなく、ほんとに準備段階で書いています。
実はですね、Type-Cを収める物理的な穴が足りない、というのはこの記事を書きながら気づいたことなんです。ということで記録をしながら進めるというのも意味があるなと思った次第です。
まあまだ日があるので、もうすこし準備を徹底したいと思います。結果が出たら、実践編もアップしますので是非ご期待ください。