最近、ある大学が主催するセミナーに毎週出席しています。
内容はさておき、気になるところが一つあります。それは、
「開始予定時刻に始まらない」
ということです。予定時刻から少し過ぎて「あ、そろそろ時間ですね」とか言って、「あれ、でも人が少ないなあ」「もう少し待ちますか」みたいな問答が主催の人々の間でなされるんですね。
まあ、私もそんなことで一々目くじらを立てたりはしません。大体いつもギリギリで参加していますので、ちょっと遅れてくれたら「間に合った〜」と思うこともありますしね。
ただ、中には「がんばって早く来たのに、なぜ遅れている人を待たないと行けないのか」と思う人もいるかもしれません。そしてそれが有料のもの(特に高額)だったりすると、やはり決められた時間には始めないといけないような気もします。
予定時刻に始まらない理由
「準備が整っていない」というのが最もよくある理由でしょう。特にイベントなどではそれが多いような気がします。また文化によっては「遅れるのがデフォルト」ということもありますよね。
ルーティンの授業で遅れる理由の一つには、準備が整っていないということもあると思いますが、そのほかに、
来るべき学習者が来ていない
というのがあると思います。授業の時刻になっても半分しか学習者が来てない場合、「もうちょっと待ちますか」と言うこともあるでしょう。私も駆け出しの頃はよく言っていた気がしますが、最近は言わないようにしています。やはりそれは早く来た人(時間通りに来た人)に対して失礼ではないかと思うからですね。
ただそうやって授業を始めてしまって困るのは、遅れてきた学生に対応することですね。大切なことはもう一度説明しないといけませんし、活動のやり方なんかはもう一度説明しなければなりません。それは手間ですし、その時間を取ることは早くきた学習者の時間を奪うことにもなりかねません(まあそこまで考える人はあまりいないと思いますが)。
それで「ちょっと待ちますか」になってしまうのではないでしょうか。
授業の入り方
それを避けるために、私がやっていることは、
最初の5分くらいは進度と関係ないことをする
ということです。まあ当然のことですね。そうすれば同じ説明を2回する必要もありませんよね。
で、進度とは関係ないことというのは何かというとやっぱ復習でしょうか。そのほかにもあるとは思うんですが、そこで私が大事にしている考え方は、
早く来たほうが利益になる
という感覚を学習者の皆様にもってもらうことです。例えば授業の最初の方はインタラクティブな復習をおこなうとか。30人もいるクラスだとなかなか教師と学習者間のインタラクティブな活動っていうのは難しくなると思いますが、最初の5分ではそれがなされる、となるともしかしたらある種の学生はそれを目当てに早くくるようになるかもしれません。
もちろん、授業の性質によってどんな活動が利益誘導になるかは変わってくるでしょう。年齢層の低いクラスだったら、最初にゲームをするとかがよかったりするかもしれません。
おもしろい活動をしている間に来た学生は、学生たちがやっていることを横目に見ています。もしかしたらその活動をやっている様子を見て、「次は早めに来よ」と思ってくれるかもしれませんね。そうしたら大成功ですね。
具体例
一つだけ具体例を出します。
前もブログで書いたことがあるんですが、カンボジアでオンライン授業をしている時はルーレットを使って復習会話活動をおこないました。
詳細は↑を見てもらえればいいんですが、大事にしたのは学習者との関係構築ですね。初級レベルですから日本語だけでは大した話はできませんけど、少しずつ学習者についての情報を聞くようにしました。もちろんそんなに個人的なことは聞きませんよ(笑)。「〜さんは中国語が話せる」とか「〜さんの家は学校から遠い」とかそういうような情報をこの活動を通じて少しずつ蓄積していった感じですね。
そうやって復習会話活動をやっている間に時間が過ぎて、来るべき人は来るわけです。そして「じゃあ今日は何ページですね〜」と授業にソフトランディングできます。もちろん30分遅れてくる人とかはケアできませんけど、そこまでやってたら何もできませんからね。
もちろんこれは一例であり、これが最も良いというわけではありません。
まとめ
というわけで、授業開始時間に開始することについて書きました。
いろいろ事情もありますし、どれが良いとか悪いとかいう話ではありません。
ただ、授業開始時刻ちょうどにはじめても、すべての人の幸せ?のためにできることはあるということですね。実は私も最近どうやって授業を始めるかについてはいろいろ悩むところがありまして、文章に一つ書いてみました。
うちの学校の日本語クラスは「走読班」で、つまり生徒たちが英語の時間に下の空き教室に来て授業を受ける形ですが、いつも何人かの生徒さんはいろんな「言い訳(担任に呼び止めたとか、トイレにいったとか)」をして遅刻してしまいます。待つか待たないかというモヤモヤが時々生じていて、最近は多読のビデオを休憩時間を利用して流れていますが、やっぱすべての学生が早めに来てくれないので、佐久間先生のやり方も試してみようかなと思います。ありがとうございます。
シュミャオミャオさん、コメントありがとうございます。
ここまで見に来てくれたんですね〜
「走読班」の授業大変そうですね。本色々試してみたら、そのうちの何人かは早く来てくれるかもしれませんね。本当にやる気のない学生は、何をやってもしょうがないですけどね。
私は、大学で働いていた頃、本当にやる気のない学生とは、よく世間話をしていました。「そのかばんかっこいいね」とか、授業とは全く関係のない話。そういうことを通じて、少しでも日本や日本語に興味を持ってくれたら嬉しいなと思っていました。