今学期からCo-teachingを導入しています。一つのクラスに二人の日本人ネイティブが入って、授業を展開するものです(詳しくは以下を)。
これはやりようによっては非常に魅力的なクラス運営につながると思います。しかし「二人いる教師をどう生かすか」に関しては(知らないだけかもしれませんが)確立されたノウハウなどもなく、我々も試行錯誤の連続です。
魅力的なクラス運営の方法は今後ゆっくり考えていきますが、とりあえず現時点でもCo-teachingを導入した際の「明らかな長所」というのは見えてきています。当然のことばかりですが、文章化しておきます。
トラブル対応
まずはこれが最も大きな長所だと思います。例えば、これは実際にあったことですが、教室のプロジェクタと自前のノートパソコンの接続がうまくいかず、どうしてもスライドをスクリーンに映すことができません。
普通のクラスであれば、「ちょっと待ってね」といって学習者を待たせて、あれこれしてみることになるでしょう。しかし今回は違いました。相方の先生に「ちょっと授業進めといてください。その間に直しますから」と言って、実際その間にどうにか復旧することができました。
このようなトラブル対応は「クラス運営の本質」とは外れるところですが、実際の現場では頻繁におこることですよね。配る資料やマーカーを教室にもってくるのを忘れてとりに戻るとかは、誰でも一度は経験することでしょう。
なんだそんなことか?と思うかもしれませんが、「授業を止めなくて済む」というのは非常に大きなことです。
教師がインフルエンザにかかったらどうなるでしょう。休講になったり、代役を探したり、大変ですよね?でももともと教師が二人いれば、そういったトラブルは十分回避できるわけです。
労力の節約
Co-teachingの成果を考えようとする場合、比較の対象になるのは「半分の人数の学習者のクラスを一人の教員が担当した場合」です。
どういうことかというと、
1)学習者が30人で教師が二人いるクラス(Co-teaching)
2)学習者が15人で教師が一人いるクラス(普通の授業)
この両者を比べて、1)の方が良い、2)の方が良いという議論をする必要があります。
仮に教師をA、Bとすると、2)の場合はA、Bがそれぞれ15人のクラスを別の部屋で受け持っているということになります。
さて、教師の皆さんはどちらの方が楽でしょうか?どちらの方が大変そうでしょうか?
Co-teachingをするとなったら綿密な打ち合わせが必要になります。授業プランを共有するという、一人で授業するときには必要のない作業が出てきます。しかし、この場合はそれを置いておいて、授業に入った瞬間からの場合を考えてください。
2)のクラスでA,Bという教師が同じようなプランの授業をする場合を考えます。
例えば文法の説明をするでしょう。例えば今からやる活動の説明をするでしょう。それがA、Bの2つのクラスで行われるわけです。でも、これが1)だったと仮定した場合、文法や活動の説明は一人だけがやればいいのです。同時間にクラス全体に話しかけられるのは一人だけです。聖徳太子じゃないんですから、同じ瞬間に二人の人が話すわけにはいきません(合いの手を入れるくらいはできるかもしれませんけど)。
Co-teachingの場合、説明をしない方の教師は、その間声を出さなくていいのです。つまりその文の労力が節約されるわけです。
こういうことはあまり大きな声で主張されるべきことではないかもしれません。でも実際、Co-teachingの授業が終わったときの感じは一人でやるときよりもだいぶ楽だな~という印象です。その楽になった分は、他の活動(授業準備など)に当てられるのではないでしょうか?そうすると、その教育機関としては、Co-teachingをやることによって(金銭ではない、教師の労力という)コストが浮くことになります。
また、例えば試験をする場合なんかも、部屋が2つあれば二人の監督が必要になります。でも教室が一人なら一人出てくればいいわけです。
…とここまで、Co-teachingを導入した際の明らかな長所を2点述べました。この「明らかな」というのは、「教師が2人いることの利点を最大限活かした授業ができなくても」「仮に一人でおこなう授業と同じようなやり方をしても」得られる長所ということです。
Co-teachingに関しては今後もまた書いていきます。
■Co-Teaching はじめました。
■テコンドー道場で得たCo-teachingのヒント
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