さて、このシリーズも最終回となりました。最後は授業内容ではなく、合宿の生活面について書きたいと思います。今後ますます「笈川メソッドを生で見てみたい!」という人が増えると思います。そういった人々への予備知識的な記事になればな~とお思います。
では、行ってみましょう~
会場
会場は北京市の西方に位置していました。私は北京首都空港から向かったんですが、北京の端から端に行くような感じで結構遠かったです↓。
ただ、運営側のご好意で、私の飛行機到着時間に最も近い飛行機で首都空港に到着する学生さんを紹介してもらいました。空港からはその学生さんと共に会場へ向かったので、全く問題はありませんでした。(徐陈臻逸さん本当にありがとうございました。写真をとらなかったのが残念!)
↓そして着いたのが会場である金球国際文化交流中心!!金球!?学生さんはみんなキンタマ!キンタマ!と呼んでいました(嘘)。
どうやら合宿訓練や研修などをおこなう場所のようです。同時期に他の「子供軍事訓練」や「教員研修」みたいなものがおこなわれていた模様です。
はじめネットでこの周辺の写真↓を見たときは「え?ここが北京なの?」と思いましたが、北京にもこういうところがあるんですね。毎日この↓の左側にあるように、露店でクレープみたいなものをおばちゃんが売っていました。一度食べようと思ったのですが、キンタマでは3食付きだったため常にお腹がいっぱいで食べる機会がありませんでした。
↓主に授業をおこなった建物。体育館、講堂といった感じです。
食事
上でも述べましたが、キンタマでは3食が食堂で提供されます。ちなみに1泊+3食が130元(2000円強)でした。学生は基本的に10泊しますから2万円近くが合宿費用になりますね(授業料は別)。
では、キンタマが誇る食事の一例を写真で御覧ください!
↓朝食 。朝はあまり食べられないという学生たちに配慮した質素な食事。猛暑を考慮してか、野菜などは少々塩分多めの心遣い。饅頭に野菜をはさんで食べると即席中華サンドイッチの出来上がり。 ↓昼食。鶏肉&豆腐でタンパク質もちゃんと摂れます。ほしい時にほしい栄養素が摂れる大陸的スケールの絶妙献立。これで午後の授業への腹ごしらえはばっちりです! ↓夕食。健康に配慮された野菜中心のヘルシー献立。饅頭とご飯のダブル炭水化物で満腹です。
以上、合宿授業での食事の一例をご紹介しました。
しかし、学生からの評判はイマイチで、最初に一緒に食事をした徐さんなどは一口食べた途端、「あ、私この合宿できっと痩せます…」とのこと。また、食事に行かない同室の男子学生にその理由を聞いてみたところ、
学生「僕の口にはちょっと合いませんので…」
私 「でも合宿は長いよ~」
学生「我慢できるところまで我慢してみます…」
とのことでした。この学生には韓国から持ってきたラーメンをあげたら喜んでいました。
※それと私は今回、韓国で買ったお菓子をたくさん持っていきました。お土産用の上等のやつではなくて、普通に韓国のスーパーで売られているものです。それをスーツケースいっぱいに持って行ったのですが、これは正解でした。お菓子を通じてコミュニケーションもとれるし、珍しいものをもらったと喜んでいる学生もいました。荷物が増えるので迷いましたが、持っていって良かったです。
味覚というのは人それぞれですので、評価は特にしません。気になる方はキンタマへGO!
宿舎
キンタマと道路を挟んで向かい側に宿舎があります。学生たちは10人前後のドミトリーで寝起きを共にします。私やその他の日本人教師、留学生のみなさんも中国の学生さんと同じ部屋を利用しました。
↓部屋の内部の様子。私が入った部屋は14人部屋でした。写真中央奥には洗面台2台が見えます。そして、その両脇にはトイレ&シャワールームがあります。エアコンもついていて、部屋は涼しかったです。合宿に集中できるように、テレビやWifiなどといったものはありません。
↓自分が使ったベッド。ハンガーを持っていったのは正解でした。荷物はベッドの下に置きました。貴重品の管理には気を使いましたが、特に問題は起きませんでした。部屋に一つカギがあって、授業に行くときは学生が施錠してくれました。
生活もろもろ
日課
午前授業 08:30~11:30
午後授業 13:30~16:30
これがおおよそのスケジュールです。これがオフィシャルな授業で、それ以外にも「練習したい人は何時に集合」といったようなものもありました。合宿の割には授業時間が少ないな、と参加前は思っていたのですが、これだけでもヘトヘトになります。
昼休みも2時間取られているんですが、多くの学生は寝ていました。みんな相当疲れているんだな~と思っていたのですが、他の人に聞いてみたところ中国には昼寝をとる習慣があるということでした。これは知りませんでした。また中国の大学生は基本的にみんな寮生活ということでした。大学でも昼は長めに休みをとっているらしく、なるほど学生さんたちはいつもやっていることをやっているだけなんですね。
自由時間
授業時間は基本的に自由時間になります。しかし運営側からはこの自由時間について注意事項一つありませんでした。あったとすれば「疲れをためないように早く寝てね」くらいです。
宿舎には夜10時30分まで空いている売店があるんですが、そこにはビールもおいてありました。大学生&合宿となれば夜は毎晩酒盛りであろうと予想して来たのですが、そのような雰囲気は全くありませんでした。10日間いれば、そんな日もあったかもしれませんが、とにかく2日の間で酒盛りをしている様子は一度も確認されませんでした。
実は、今からちょうど20年前の1998年に中国を旅行したことがあります。いわゆるバックパック旅行で自由旅行でした。旅行を続けているうちに、中国の大学内にはゲストハウスがある、ということに気がつきました。しかも大学構内で歩いている学生に声をかけるとそこそこ英語が通じます。
そういうわけで行く町ごとに大学を探し、宿泊し、中国の学生ともたくさん交流をしました。ある町では、一人に声を掛けると「おれの寮の部屋に遊びに来い!」と言われました。ついていくとやはりそこは10人部屋くらいのところでした。すぐにリーダー格の男が出てきて我々を歓迎してくれ、どこからかビールが運びこまれ、飲み会が始まりました。中国と日本の友好を祝して乾杯しよう!みたいな感じでした。
その印象があったので、絶対夜は酒盛り!と思っていたのですが違いましたね(笑)。これは中国通からの解説を待ちたいところです。私は、この合宿に参加した学生は中国の学生の中でも真面目な部類に入るからだと睨んでいるのですが、いかがでしょうか。
じゃあ、学生たちは課外時間には何をやっているの?ということですが、人それぞれですね。大体はスマホやノートパソコンをいじったりしていました。
ある部屋を訪れると、男子部屋にもかかわらず女子学生が遊びに来ている!!おお、これこそ合宿の醍醐味ですよね~200人も若い男女がいればその中で恋が芽生えてもおかしくありません。てか、芽生えるよね!
で、私は「飲み会でも始まるのか!」とチラチラ横目で見ていたんですが、上記したようになかなかその気配がありません。中国語で何やかや話をしているみたいなんですが、ちょっと観察して何をやっているのかわかりました。えええええまじで~
そうなんです。彼らがやっているのは人狼ゲーム!!
男女集まって仲良く人狼ゲーム!!これは素晴らしいわ。そんなふうにして夜が更けていくのですね。
最後に
全5回に渡り、2018年夏に北京でおこなわれた笈川式日本語合宿授業(正式名称がわからず)のあれこれについて報告をいたしました。自分に対する備忘録的という性格が最も大きいのですが、断片的な情報しかない笈川メソッドをある程度総合的に考察して世に出すという意味合いもあります。きっと私と同じように「笈川式ってなんか気になるな」と思う人は少なくないはずです。その方々への一助となれば幸いです。
行ける時に行っとかないと一生わからないかもしれないと思い、勢いで北京行きを決めたわけですが、わずか2泊の参加で素晴らしい経験ができたと思っています。
ここまでいろいろな観察や考察をしましたが、この合宿参加を一言で言うと
本当に楽しかった!
これに尽きます。教師としての成長云々、語学教育へのアプローチ云々いろいろありますが、それは二番目です。とにかく楽しかったです。
おまけ
↓同室になった学生さんたちと。みんなナイスガイでした。
特に董書臣さんと、张志巍さんは最後バス停まで送ってくれて、中国語がわからない私に代わって説明をしてくれました(おかげで無事にホテルまでたどり着けました)。
あ、それとみんなが首につけている名札ですが、これは色によってその人の立場がわかるというものでした。青は日本人教師、赤は一般学生、黄色は運営側とか。これは便利だな~と思いました。↓これです。