アウトプットを中心に据えた授業(1/2) 前提編

投稿者: | 2020年9月9日

私の職場では2020年の3月から現在(2020年9月)までオンライン授業を実施しています(今後も当面続きそうです)。もちろんそれまでは完全オフライン授業だけをやっていたの、その移行作業はなかなか大変でした(それについては過去のエントリーを御覧ください)。


オフラインからオンラインに転換するにあたって、全体のカリキュラムやシラバスをまた一から見直しました。特に、今日の記事に関連するところで言いますと一番大きな変更点は、

いくつもあった中級クラスを一つにまとめる

ということでした。なぜそうしたかというと、オンライン授業をするにあたり、レベル別に全クラスを開く余裕がなかったからです。詳細を話すと長くなるのでやめますが、これまでのカリキュラムをざっくり変えて、以下のような要領で「中級会話」クラスを開きました。

・1回60分、週2回の授業。
・全20回ほど(それを2ターン)。
・同期セッションはZOOMを使用。
・担当講師は日本人3名(メイン一名、残りはケア)。
・学生は15人~20程度
・教材はオリジナルのものをその都度用意。

で、今日と次回お話する授業「中級会話」につきましては、私も一枚噛んではいるものの、大事な部分は私の職場の先生2名が構築しました。それがかなり素晴らしい出来になりましたので、ぜひともその知見を皆様と共有しようと思った次第です。

アウトプットを中心に

授業はアウトプットを中心にすることにしました。なぜ、アウトプットを中心にするかというと、

受講生のレベルがバラバラだから

です。対象学生は「中級レベル」と言いましたが、具体的に言うと、本来なら「まるごと」の「初中級」を受けるべき学生から、「中級2」を受けるべき学生までが入り混じっています

もっと端的に言うと、最も下のレベルの学生は1年半の学習歴で、上のレベルは3年とか4年とかになります。また留学経験者のような人もいますし、仕事でバリバリ日本語を使っているような人もいます。

クラスの中でレベル差があるのは普通のことですが、私達はずっと教科書のレベルを基準にして授業をおこなってきたということもあり、付け焼き刃でそれに対処するのは難しいと判断しました。

そこで、アウトプット中心のクラスを立ち上げることにしたのです。アウトプットであれば、同じ質問に対してそれぞれのレベルで答えることが可能です。

どういうことかと言うと、「ご飯を食べましたか?」と質問して、「はい、食べました」と答えてもいいし、「食べたんですけど、急いで食べたから食べた気がしません」と答えてもいいんです。つまり

自分の考え方一つでチャレンジできる

ということになります。このCOVID19の状況もそんなに続かないだろうし、普段の「まるごと」とは違う授業も、単発であれば学生たちには受けるのではないか、という思惑もありました。

ま、実は始める当初はそんなに計画的ではなかったんですが、だんだんやるうちにそのような形になってきたということです。

3人で授業を担当

この「中級会話」をやるにあたって、中級レベルの学生を一つにまとめたわけですが、教師も一つにまとめました。普通だったら3人がそれぞれ一つずつクラスを担当するべきところを「3人で一クラスを担当」という形にしました。

これは、同時間に3人が同一クラスに入る、ということです。

しかし、オンラインだろうとオフラインだろうと同時間に同じ場所で発言できるのは1名です(聞き手に聖徳太子的スキルがない限り)。だから必然的に1名が授業進行をおこないます。残りの2人は、何もしません。

というわけではなくて、基本何もしないんですけど、まあサポートですね。出てくる単語をチャット欄に書いたり、ブレイクアウトルームを作ったり。そう、この3人体制が生きるのはブレイクアウトルームで、なのです。

「中級会話」と銘打っているので、話す機会が多いのですが、さすがに教師も聖徳太子的スキルがあるわけではないので同時間に複数人と話をすることはできません。そこを、例えばブレイクアウトルームを使うことによって、各ルームに教師を配置でき、より効率的な授業が展開できる、というわけです。

ルームの使い方もいろいろ試しました。ブレイクアウトルームを4つ作って、3人の教師がそれぞれのルームで少し話します。それが終わると3人がそれぞれ違うルームに移動して、またそのルームで少し話をします。それを繰り返すと、総会話時間数は増えませんが、いろんな教師と話ができるのですね。これは悪くない試みだったと思います。まあ、ブレイクアウトルームの長所を最大限活かしたと言えるでしょう。

トピックの選定

問題は何を話すか、ですよね?最初の頃は会話系の教科書をいろいろ見て、何がいいだろうか考えました。

最後の方は、以下のページを参考にしました。

https://jfstandard.jp/cando/about/summary/ja/render.do#topic

何月何日の授業は「自分と家族」とか「住まいと住環境」とか「自由時間と娯楽」とかそんな幅の広いのだけ決めておいて、その日のメインの先生がその縛りの中から「受講生にこんなことを話してもらおう」と決めて一人でシコシコ教材作成をおこなったのでした。授業には3人はいりますが、それぞれの授業計画は1人で立てます。

教材はすべてスライドです。Googleスライドを使ったりパワーポイントを使ったり人それぞれです。

時間差での授業計画

調査をしたことろ、私達の受講生はスマホで授業を受ける学生が6割近くいました。ですので、同期セッションの際はあまりいろいろなツールを使わないようにしました。

というか、そんな示し合わせは教師間ではしていないのですが、自然にそうなりました。基本的に同期セッションの際はZOOM上でスライドを見せるくらいになります。

しかし、同期以外の部分では多少工夫をしました。時間差でいろいろな活動を入れたのです。少し違いはありますが、最終的に固まってきた形は、

・授業前→反転ビデオ
・授業中→ZOOMセッション
・授業後→Flipgridによる宿題提出
・コミュニケーションツール→FBグループ

という感じです。

授業前は反転ビデオを見せます。これは授業の前日にFBグループで流します。主な目的は「翌日のZOOMセッションで話すことを事前に考えてきてもらうため」です。

アウトプットの難しい理由の一つは、「話すことを思いつかないから」ではないでしょうか?日常的なことでも、外国語でペラペラと話そうと思うと難しいことです。課題を前日に与え、何を話すかを考えてきてもらうことによって翌日のZOOMセッションが受講生にとって更に意味のあるものになります。

またそのアウトプットをおこなう上で役に立ちそうな単語や表現の導入などもおこないました。

本授業はZOOMセッションです。ここではひたすら話します。同じ内容でも話相手を変えて何度も練習します。気の利いた学生や、レベルの高い学生は何度も同じ内容を話すのではなくて、その都度話す内容を変えたりしていました。

授業後はFlipgridを使ってビデオを提出させます。これはZOOMセッションのまとめですね。だいたいZOOMセッションで話したことや、それに類似する内容を1分から1分半くらいの動画にして提出してもらいます。

ここまでやれば、学生にとっては

話したぞ!

という感じがするのではないでしょうか。

続きは「実践編」で!

というような流れなんですが、言葉で説明していては雲を掴むようなふわっとしたことしかわかりませんよね?

では、次の記事では実際に私が利用した授業資料を公開して、どのような授業をおこなったかを詳説します。

アウトプットを中心に据えた授業(2/2) 実践編


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