日本語スピーチコンテストの審査方法について考える2

投稿者: | 2020年11月11日

↑からの続きです。

さて、前回は「得点合計方式」について考えました。今日は「順位得点付与方式」について考えてみます。

順位得点付与方式

モデルケースを出してみます。

①審査員は5人
②各審査員は参加者の序列のみを決定する
③最も序列の高い参加者の得点を1点、次に2点、3点…とする
④全審査員の出した点数を合計し、その点数の比較で順位を決定する(もちろんもっとも合計点が低い人が優勝)

この方式の問題点を考えてみましょう。

●全員の序列を考えるのは難しい

この方式が潔いのは、審査員一人一人の「誰を優勝させたいか・させるべきか」の意図が明確に表明され得る、という点だと思います。そういった意味で、1位、2位、3位あたりまでを決めるのはそれほど難しくありません。

難しいのは下位の順位付けです。参加者が10人ほどいる場合、「この人が6位で、あの人が7位で」というのは非常に難しい作業ですので、序列をつけるのは参加者数の上位半分まで、くらいの条件があってもいいと思います。下位のランクづけを細かくするスピーチ大会ってあんまりありませんよね?

参加者が10名の場合だったら「上位の5人を選んで、その5人の序列だけをつけてください」とかで十分かもしれません。

●点数の差がつけられない

この方式のもっとも大きな弱点は、相対的な順位は決められるがその差は決められないというものです。1位と2位の差、2位と3位の差がどれだけ開いていても点数として現れる差は「1点」の差になります。

参加者Aが圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、「この人しか優勝者はいない」と審査員の一人が思ったとしても、二番手の参加者Bとの差を点数でつけられないということです。

前回のエントリーで書いた「得点合計方式」であれば圧倒的な差は、圧倒的な点数差として審査員が表すことも可能なんですけどね。

例えば、以下のような場合。どの参加者が優勝すべきだと思いますか?

参加者A 1、1、3、3、2
参加者B 2,2,2、2,1
参加者C 3,3,1、1、3

もし単純に順位点を比較するとすればA~Cは「10、9、11」となり、Bが優勝となります。最も大きい数字と小さい数字を除外する方式を採用したら「6,6,7」となり、AとBは同点となります。

総合的にはBを優勝、とするのが数字上は妥当かもしれませんが、問題が一つあります。それは「Bが優勝にふさわしいと考えている審査員は一人しかいない」という事実です。そういった意味でBを優勝としてしまうと、やはり「平均的によくできた人を選んだ結果」になってしまうんですね。まあ悪くはないと思いますが。

●審査員の意向を含ませるには

この評価方式は相対的な順位を決めるだけで、その間の距離間を指定できないというのがネックになろうかと思います。ではその部分に少しゆとりをもたせてみましょう。

3人の参加者がいるとして、全部の順位点を足すと1+2+3=6点になります。これを自由に配分できることにするのです。例えば、ある審査員は参加者全員がそれほど差がない、つまり甲乙つけがたいと考えているとします。その場合2点ずつ与えるのです。

参加者A 2
参加者B 2
参加者C 2

ある審査員は、参加者AとBは甲乙つけがたいが、Cは多少落ちると思っています。その場合以下のような採点が可能です。

参加者A 1
参加者B 1
参加者C 4

またある審査員は参加者Aだけが飛び抜けていて、B、Cはどんぐりの背比べであると考えています。

参加者A 1
参加者B 2.5
参加者C 2.5

このようなオプションをつけると、つけないよりは審査員の意向をより反映させるような採点が可能になるのではないでしょうか。

ただし、その分だけ採点が複雑になります。参加者が3人だけで6点の振り分けでしたらそれほど複雑ではありませんが、参加者10人で上位5名を選びその中で順位付けをするとしても15点の点数を5人に振り分けないといけません。結構複雑ですよね。

やり方としては、まず序列を決めてそれぞれ1~5点を記入。その5人を見比べて微調整作業をおこなうことになりますが、まあ面倒ですね。概念としては簡単ですけど、ゲスト的な人に説明するのは少々骨が折れるかもしれません。

まとめ

以上、「順位得点付与方式」について見てきました。

・序列を決めるだけでいいので楽
・下位の序列までを決める必要はない
・序列の間の差を表現できないのはマイナスポイント
・それを補う方法もあるが、採点が複雑になる

私はどちらかと言うと前回の記事で上げた「得点合計方式」より、今回の「順位得点付与方式」の方がスピーチ大会には向いているのではないかと思っています。それは、「序列を決めるだけでいい」のでシロートさんにもわかりやすく、また、審査員の「誰のスピーチが良かった」という思いが反映されやすいのではないかと思うからです。

次の記事では社会的決定理論の本を一部引用しながら、より良い決定の仕方をまとめてみます。

日本語スピーチコンテストの審査方法について考える3

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