もう10年以上前になりますが、韓国の大学に勤めている時に結構無茶なミッションが降りてきたことがあります。それは、
ゼロスタートの学生たちを3ヶ月でN3に合格させる
というものでした。あんまり試験対策とかやったことないのでこれが無茶なのかどうなのかはよくわかりませんが、当時は「無理じゃないか」と思ったものでした。
結果として、全員(8人?)無事合格できたんですが、今日の話は合格不合格とかそういった話ではありません。
私が試験の対策をしている時に学生たちに言った言葉が、意外に受けが良かったので、その時の話をしようと思います。私が言った言葉は非常にシンプルで、以下のようなものです。それが、
「半分わかれば試験には合格する!」
というこの記事のタイトルの言葉です。
最初に目指す点
まず最初にエクスキューズから述べておきますが、この話は厳密でテクニカルな話ではありません。なんとなくのイメージの話であり、考え方の話です。
満点が100点と仮定して、そのうち半分がわかれば50点は取れる。そして残り半分の問題がまったくわからなくても、問題は4択なので山勘でも12.5点。合計62.5点。
もし合格ラインが60点なら
半分確実にわかる問題があった時点で合格できるのです。
だからまず君たちが目指すラインは、問題の半分で適切な回答を選べるレベルまで達することです。
次に考えること
わからない問題は山勘ですので、ことごとく選んだ答えが外れることだってあるわけです。しかし問題の答えがわからないからと言って、すべて山勘に頼る必要はありません。
わからない問題に遭遇した時にやるべきことは、回答の選択肢から確実に消せるものを消すことです。答えがわからなくても選択肢を一つ消せれば、正答を選ぶ確率は上がります。例えば、わからない問題のうち全ての問題で選択肢を一つ消せた場合、
50*1/3≒16となり、わかっている問題と合わせれば66点となります。
全くの山勘では62.5点でしたが、選択肢を消すことによって期待される得点が上がりました。
もっとシミュレーションをしますと、仮にわからない問題50点分のうち、3分の1が「選択肢を一つも消せない問題」、3分の1が「選択肢を一つ消せる問題」、残りの3分の1が「選択肢を2つ消せる問題」とした場合、期待される得点は、
50*1/3*1/4+50*1/3*1/3+50*1/3*1/2≒18 となり、わかっている問題と合わせれば68点となります。
まあ実際はもっと複雑でしょう。自信を持って消した選択肢が正答の場合だってあるし、選択肢を消す時の自信も0か100かということもない。しかしイメージとして言えることは、
選択肢を一つ消すたびに合格可能性が高まる
ということです。
まとめ
「半分わかれば合格です。そしてわからない問題に遭遇したら消せる選択肢を消してください。一つ消すたびに期待得点が上がり、合格に近づくのです。」
私はその10年前以上の授業のどこかで、この話を学生を前でしました。数字を書いて説明した記憶があります。
え?そんなの常識?わざわざ書く必要ある?と思った方、確かにあなたは正しい。
選択問題なら消去法を用いるのは普通ですし、そもそも半分の問題がわかるまでが難しい。まあそうなんですけど、この話の要点は、
・半分の問題は自信がなくてもいい
・選択肢を消すたびに合格に近づく
と学生がはっきりとイメージできるようになることなんですね。実際私の学生は、私の話に非常に感心しているようでした。
あと、もう一つ言います。まあ同じことなんですが、JLPTに限らず何かの試験を受ける時にどの級を受けるか、または合格レベルにあるかどうかの分岐点は「問題の半分くらいがわかる」かで判定できるということですね。
以上の話が何かの参考になれば幸いです。
※JLPTの採点方法は複雑で単純に問題数と正答数から導けるものではありません。あくまでも学生を鼓舞するためのもの、気を楽にさせるための方便であるということをご理解ください。