日本語教師とレジリエンス

投稿者: | 2020年10月16日

以前こんな記事を書きました。

「期待される役割+1」の日本語教師

「私は職業的なストレスがあんまりない、それは与えられた条件の中で、期待される役割を果たすということをやっているから。与えられた条件が気に入らない場合、一応変える努力はするけど、どうにもならないことも多いのでそれに固執しない」

ということを書きました。この内容については賛否両論があった記事なのですが、一つ良いことを教えてもらいました。

レジリエンス?

恥ずかしながら不勉強な私は初めて聞いた言葉だったのですが、その後本を一冊紹介してもらい、読んでみることにしました。それが以下です。

内田和俊(2016)『レジリエンス入門−折れない心のつくり方』筑摩書房 

レジリエンスとは?

まず、私のようにレジリエンス(Resilience)という言葉を初めて聞いた方に、この言葉をご説明しておきます。

物理学用語としての「ストレス」は「外圧による歪み」という意味です。 それに対し「レジリエンス」は「その歪みを跳ね返す力」として使われています。(Kindleの位置No.114-115)

「精神的回復力」「復元力」「心の弾力性」と訳されるようで、

目の前の逆境やトラブルを乗り越えたり、強いストレスに対処することができる精神力(Kindleの位置No.124-125)

ということだそうです。

わたしたちは「強い精神力」「打たれ強い心」をほしいと思いがちですよね。それはそれでいいでしょう。でも自分の殻を割ってくるほどの外圧=ストレスがかかるときがあります。その時に大事なのはストレスに潰れないことではなくて、潰れてもまた元に戻る力=レジリエンスなのである、そして、訓練によりレジリエンスは高めることができる、というのです。

そして本書はそのレジリエンスを高める方法について書いた本なのです。

学校の勉強とは異なり、レジリエンスを高める脳の鍛え方は、知識を増やすのではなく、視点を増やします。
言いかえると、一つの出来事や事実を多くの異なる視点から違う見方をする訓練です。(Kindleの位置No.190-191)

最善主義

そのレジリエンスを高める内容を全部書いてしまうとあれですので、ここでは私がピンと来た一つの考え方、概念について書きます。それが小見出しに書いた

最善主義

という言葉です。どうやらこれも私が知らなかっただけで、この界隈ではよく使われる言葉だそうです。

最善主義とは、「様々な制約のある不公平で理不尽な現実を素直に受け入れ、そんな状況の中で、ベストを尽くそう」という現実的かつ合理的な考え方です。(Kindleの位置No.1191-1192)

これはまさに、私がが冒頭で紹介した以前ブログ記事にしたことをそっくりそのまま表した概念です。なるほどそういう体の良いワードがあるんですね。ここを読んでわかったのですが、私は

最善主義者

だったわけです。こういうしっくりするカテゴリーがあると私の最善主義者っぷりは徹底するのではないかと思います。

最善主義は、完璧主義の良い点である「常に高みを目指し、完成度の高いものをつくり上げようという意識」を残しつつも、現実への不満を軽減したり、失敗に対する恐怖心を取り除いてくれる考え方なのです。(Kindleの位置No.1194-1196)

なるほど、とりあえず、ここでは完全主義者よりも高等な主義者として位置づけられているようです。と、ここまで読んで一つ思ったことがあります。私はだいぶ前、時として「完全主義者ですね」と言われることがありました。自分では一度もそう思ったことはなかったのですが、確かに当時は「できるだけ完璧にこなそう」「弱みを見せないようにしよう」と思っていたのではないかと思います。

それが、いつしか私を完璧主義者と呼ぶ人はいなくなりました。それはやはり私が完璧主義者から最善主義者に変わったからなのではないかとふと思いました。ただ、最善主義者という言葉は、完全主義者という言葉ほど普及しているものでもないので、私を最善主義者と呼ぶ人はいなかったのかもしれません。

これからは私を遠慮なく「最善主義者のさくまさん」と呼んでください。ただ、この言葉は本書の説明によれば、完全主義よりも高等なものですので、ちょっと大げさですよね。で、折衷案として、

次善主義

と呼ぶのはいかがでしょうか。私はもちろん与えられた条件の中で最善の方策を考えるのですが、それと同時にあんまりいろいろなことを信頼していないので(笑)、常に次善の策を用意しています。

締め切りまでにあの人が返事くれなかった時は…とか、もしもWifiが使えなかった時は…とか。

ですので、これからは次善主義者で通していこうかと思います。

ハイブリッド授業

最近ちょっとオンラインとオフラインを融合させたハイブリッド授業のことを考えています。それは来週の勉強会にゲストとして呼ばれることになったからです。まあ私はメインゲストではないんですけど、それでも名前が出ていますのでハイブリッド授業についてそれらしいことを言わなきゃならんな、と思っています。

で、ハイブリッド授業についていろいろ考えているんですけど、私の基本スタンスは、

できることならハイブリッド授業なんてやらないほうが良い

というものです。私も以前ハイブリッドセミナーの運営などをおこなって、その時の苦労は身にしみています。セミナーの翌日は寝込んだりもしました。
しかしですね、ゲストスピーカーとして勉強会に出て「いや、あんさん、わるいことは言わん、ハイブリッドなんぞやめなはれ」と言ってもしょうがないじゃないですか。

そこで私の次善主義が発動するわけですね。やりたくないけどやらないといけない、さて最善、次善の策はなにか?

私にも打診があるかもしれません。ハイブリッドで授業やってくださいって。まずはハイブリッドの困難さを説明して納得してもらうことを第一におこなうでしょう。でも上が「そこをなんとか…」と言うのであれば、その中での最善策、次善策を考えるのが私たちの仕事です。

おそらくハイブリッドをやらなきゃいけない皆さん、やろうとしている皆さんは大体そのような状況なのではないでしょうか。

ですから、次のHKZOOMシェア会では「ハイブリッドは無理ゲー」をまずは封印してみんなでその条件下での最善策、次善策を考えるような会にしようではありませんか。

まとめ

というわけで、レジリエンスから出発した話だったのですが、最後は私がゲストとして呼ばれた勉強会の宣伝になってしまいました(笑)

レジリエンスの本について言いますと、これは基本的に高校生年代の人をターゲットに書かれているのですが、もう少し上の年代でもリーダブルです。そして私もその更に上ですけど、納得することがありました。

私がこの本を呼んで、その時から実践していることは、

寝る直前、ベッドで横になっているときで構いません。どんな些細なことでもいいので、今日一日を振り返って、嬉しかったこと、楽しかったこと、感謝できることなどポジティブな気分になれた場面を毎日五つ以上思い出してください。(Kindleの位置No.688-690)

これ、どこかでも聞いたことありますけど、なかなかいいですね。「書き留めろ」「日記につけろ」とか言われたらめんどいですけど、「思い出してください」ですから簡単です。

朦朧とする意識の中で、「今日の弁当はおいしかったな~」とか、「今日は雨が降る前に家に帰れて良かった~」とか、些細なことを5つ思い出すんですけど、なんて私は幸福な人間なんだろう、という気持ちに包まれます。

騙されたと思ってやってみてください。

では、みなさん香港のシェア会でお会いしましょう!

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