2022年末から世間を騒がせているChatGPT。私がこの存在を知ったのは↓のツイートでした。らいけんさんは私にとって「洋モノの情報を教えてくれる人」という認識でして、いつも非常に有益な情報をいただいております。
ちょっと触ってみましたが、すごい。。。 https://t.co/abykkWmkyz
— さくま しろう(佐久間司郎) (@shirogb250) December 16, 2022
そのらいけんさんがちょっと前に出された本が↓これです。これを読んで思ったことをつらつらと書いていきます。
ChatGPTの入門書
副題は「AIを活用した教育の手引き」となっていまして、教育関係者に特化した内容となっています。今の時点で何ができるか、どういうことに使えそうかということを考えるにはありがたい本ですね。
私も毎日せっせと使っていますが、自分の使い方と同じような使い方を見て頷いたり、自分が考えてもなかったようなプロンプトが発見できたりして大変勉強になりました。
アウトプットが最大の長所
ChatGPTにはいろいろな使い方があるとは思いますが、私はChatGPTについてはさまざまなアウトプットをしてくれるところが最大の長所だと思っています(当たり前ですが)。著者も以下のように言っています。
ChatGPTを使うことで、教師はもはやゼロから文章を書く必要がなくなりました。(p.121)
「探すぐらいだったら、作った方が早い」という新しい時代が到来したのです。(p.133)
この感覚はよくわかります。例えばこれは多分10年くらい前だと思いますけど、私は日本語教育に従事していました(今もですけど)。授業で使う音声教材とかってなかなか探すのが難しいんですよね。だったら自分で教材作っちゃえ、と思って、PCの前で録音を始めるようになりました。
以前だったら録音というとレコーダーみたいな機械が必要だったわけですけど、パワポでもグースラでもその場で録音してその場でスライドに貼り付けるようなことが可能になりましたよね。
しかし、テキストに関してはそうではなかったのがちょっと前。それがChatGPTによって大幅に変わったわけです。
ChatGPTは瞬時に、何度でも、めげずに、アウトプットしてくれるんですよね。もう我々は追いつきません。質にしても量にしても私は完全にChatGPT氏に白旗をあげるしかないです。
しかし、とは言え私が頭の中で思い描いた事柄を100%汲んで文章化してくれるわけではありません。まあそれはプロンプトの未熟さとかもあるでしょうけど、まあ原理的にも難しいでしょうね。
つまり、どういうことかというと、私たちの仕事は「0から文を作ること」ではなくて「できた下書きを完成させること」に移ったということですね。著者も言っています。
いまやAIの成果物を確認し承認することが、人類の主な仕事なのです。(p.292).
何でも話せる優秀な部下
ChatGPTはよく「優秀な部下」に例えられます。私もそう思っています。
よくドラマなんかで年配の社員が若手に、
「次の会議までに資料まとめといて」
「挨拶の下書きを今日の5時までにお願い」
みたいなことを言いますが、まさにChatGPTはそれですよね。
私が最近ChatGPT氏にお願いした「わかりやすい仕事例」(他にもいろいろあるんだけど、読者のみなさんに説明しやすい例)としては、
「研修会で話す内容を200字程度でまとめる」
ことでした。よく研修とかセミナーではどういうことを話すのか要旨を表示しますよね、あれです。
そんなの自分の話すことですから自分がよくわかっているわけですし、そんなに難しくもないのですが、それでも自分で書くよりキーワードを指定して書いてもらったほうが明らかに労力は少なく済みます。
書いてもらって、指示を少し変えて何回か書いてもらって、それなりのものができたらあとは自分で少し手を入れておしまいです。
私には優秀な部下はいませんが、たぶんどんなに優秀な部下よりも扱いやすい部下がいるのは確かです。
で、ですね、ChatGPTの良いところは、「優秀」なだけではないんですね。もう一つ大事なポイントがあって、それは
何でも話せる
ということなのです。優秀な人間の部下がいたとしても、すごい初歩的なこととかは聞きづらかったりしませんか。あと、自分の質問の意図をしっかり人間の部下が理解してくれるとは限りません。それでもChatGPTならその辺の負担なく何でも聞けるわけですよね。
セミナーの準備でも「この例はこの理論を具現化した例として正しいですか」「この理論はこのように解釈することも可能ですか」ということを聞いたりしました。
生成AIを使う際は、「自分が知らないことは聞かない、鵜呑みにしない」という原則がありますが、1か0かという知識の問題ではなく、論理などの問題であればChatGPTのアウトプットを私も評価できますからね。それこそ、そのあたりは人間に聞くのと同じですね。
BingChatとの合わせ技
あ、本の内容からは離れてしまいました。
最後に私が全く知らなかったことを書きます。本書はChatGPTがメインで取り扱われていますが、Bingについても書かれています(BingChatは以前一度試してみたんですが、なぜかうまく作動せずあきらめていました。結局新しくアカウントをとってやってみたらできました)。
私の理解でいうと、BIngの最大のメリットはネット上の情報を参照できるということです。ChatGPTは過去の知識として2021年までの知識はあるみたいですが、リアルタイムで情報を参照することはできないようです。
しかし、ネット上の情報を参照できるというのはどういう意味があるのか、と言いますと、下のようなことができるということです。
2020年のソーシャルメディアのユーザー数トップ10とそのシェアの概算を教えてください。 次に、以下のquickchart.ioのURL形式を参考に、上記のデータを円グラフ(pie chart)で表示するためのクリッカブルなURLを生成してください。 https://quickchart.io/chart?c={type:’bar’,data:{labels:[‘Q1′,’Q2′,’Q3′,’Q4′],datasets:[{label:’Users’,data:[50,60,70,180]},{label:’Revenue’,data:[100,200,300,400]}]}} (p337)
これはChatGPTを使ってグラフを書いてもらう例ですが、2020年となっているのはChatGPTが2021年以前の情報しかゲットできないからです。もし最新の情報が欲しいなら、同じことをBingで聞いて、それをChatGPTでグラフ作成してもらえばいいわけです(著者によるとBingではうまくグラフ作成はできないかもしれないとのこと)。
実際に私は「世界のインターネットブラウザのシェア率」というのをBingとChatGPTの合わせ技で作ってもらいましたが、うまくいきました(いや、これは実は合わせ技じゃなくてBingだけです)。
とにかくですね、本書の説明によってBIngもどんなものか少しわかったので、早速最近はChatGPTとともにいそいそと使っています(ChatGPTの有料版は3時間で25回までという制限もありますしね)。
まとめ
というわけで、本の紹介にはあんまりなっていませんけど、らいけんさんの著作をご紹介いたしました。他にもいろいろと面白いことが書いてあるのでぜひ読んでみてください。
しかし困るのが、技術は日進月歩に進みますから、これを読んで終わり!にはならないことですね。
例えば、最近はChatGPTにファイルを読ませるCodeInterpreterのことや、プラグインのことがよく情報として飛び交っていますが、この本では言及されていません(本という媒体となると原理的に最新のものを含めるのは不可能)。そうなると自分でいろいろ調べていくしかないですね。
ただ、この「何でも話せる優秀な部下」は基本いくらでも試行が可能なので、思いついたことは何でも試せますけど、実は何を試せばいいかってよくわからないんですよね。そんなときにこういう頼りになる本を読んでおくと試すことも増えていくということですね。