「交流学習」に関する研修を開きました

投稿者: | 2023年7月21日

先日、職場でオンラインの研修を開催しました。

テーマは「オンラインでの交流学習」でした。2日にわたっておこなわれ、主に中国の大学で日本語教育に従事する先生方にご参加いただきました。

内容はかなりがっつりしているので、詳細には書きませんが、この研修を通していろいろと学んだことがあるので、自分への備忘録というのも兼ねてここに記録しておこうと思います。

以下の3点について述べます。

・「みんなのひろば」活動集
・スモールステップのワークショップ
・ビデオON、討論積極参加の義務付け

「みんなのひろば」活動集

今回の研修では、東北大学の島崎薫先生に基調講演をお願いしました。

東北大学は私の古巣でもあるのですが、それが縁で講演をお願いしたというよりは、「みんなのひろば活動集」が気になっていたからです。

「みんなのひろば」活動集

これは、上のリンクを辿ってもらえればわかりますが、オンラインでの交流のガイドラインのようなものです。どのような活動をおこなうのかについて、有料級の情報を無料で目にすることができます(普通に本になっていてもおかしくないレベル)。具体的な活動、ゲームのアイディアについて知ることができます。

私も以前、交流学習ではないですけど、1年以上にわたってオンラインのおしゃべりイベントを運営していたことがあって、このようなオンラインでの交流には非常に興味があったんですよね。

ZOOMで日本語おしゃべりイベント
やさしい日本語おしゃべりカフェ
「やさしい日本語おしゃべりカフェ」終わりました。

そしてそれと同時に、私も自分がおしゃべりイベントを行っている時にこのような活動集をまとめていれば良かった、と「みんなのひろば」活動集を見て、一人ほぞを噛んだりもしました笑

まあそれは冗談ですが、この活動集をきっかけとして島崎氏に講演を依頼し、幾度かのディスカッションの末「学習環境デザイン」という観点から、いろいろ面白い話をしていただきました(本当に注文が多くて、ご苦労をかけました)。普通の基調講演とは違って、ブレイクアウトルームでの活動などもあり、双方向的な大変有意義な講演になったと思っています。

まあとにかく、活動集は素晴らしいので、未読の方がいらっしゃったらご覧下さい。教室活動のヒントにも十分なり得るかと思います。

スモールステップのワークショップ

さて、その後のワークショップではグループに別れて交流学習の企画を考えてもらうというようなことを計画しました(そしてそのようにおこないました)。

ただ、私たちの懸念はその研修がオンラインだということだったんですね。初めて会う人とグループを作り、何か新しい企画を考えていくというのはそれだけでもなかなか大変なことです。参加者はそういうことを「やりたい」という人たちですからまだましですが、オンラインでワークショップの空気感を作るのは結構大変なものがあります。

ちなみに私はこれまでもオンラインの研修みたいなものを何度もやってきましたが、上記の理由からできるだけグループワーク的なものを避けてきました(そもそもグループワークが苦手というのもありまして)。

しかし今回はグループワークありきだったので、結構考えました。結果として私たちがとった方法は、スモールステップ戦法です(当たり前ですまない・・・)。

普通の対面のグループワークだと1時間なり2時間なりまとまった時間を参加者にあげて、あとは島を巡回しつつ質問に答えたり、アドバイスをしたりして成果物を作り上げていくわけですが、オンラインということもあり、少しずつ刻むことにしました。

全体の作業を5つのフェーズに分け、最初のブレイクアウトルームではここまで行う。時間がきたらルームを閉じ、全体ルームに集める。そこで進捗状況を少しずつ確認し合う。それの繰り返しです。結果として、間延びすることなく非常にテンポよくワークショップ自体が進んだと思います(進捗状況はスプレッドシートみたいなのを使って記録)。

まあ少しずつ区切っておこなうのはそれほど珍しいことでもありませんが、コミット度がわかりにくいオンラインだと特にそれがいいかなと思いました。ちなみに過去に私がおこなった授業でもそういう「ブレイクアウトを何度も小刻みに」をやりましたが、そのときの手応えも非常に良かった記憶があります。

アウトプットを中心に据えた授業(1/2) 前提編
アウトプットを中心に据えた授業(2/2) 実践編

ビデオON、討論積極参加の義務付け

上で「オンラインはコミット度がわかりにくい」ということを書きましたが、グループワークを行う上で参加者のコミット度は非常に大切な要素ですよね。

今回は結構思い切った策に出ました。それはワークショップ参加者には、

ビデオON &討論の積極参加を義務付ける

ということです。もちろんそれは事前に伝えておき、それにOKを出した人が申し込みをできるというシステムです。そして念には念を入れ、ワークショップのグループ分けの前に、

「はいカメラをつけてください」

という時間を設けました。そこでカメラがオフになっている人は一目瞭然です。オフになっている人には一人ずつ声をかけました。機械の一時的なトラブルでカメラが消えていた人が数人いましたが、結果的に参加者は全員カメラをオンにできました。

その後グループワークをおこないましたが、途中で離脱する人も出ず、非常にコミット度の高いワークショップとなりましたとさ。

以前はですね、グループに入っても反応がなく、いるんだかいなんいんだかわからない人が結構いたりもしたんですが、こういう強権を発動することによって、お互いに良かったんではないかと思うんですよね。

もし急に「カメラつけて積極的に議論をおこなってください」と言われたら、多分私は退出してしまうと思うんですが、そもそも何回もそれはアナウンス済みでしたし、それを承知で皆さんきているんです。その場合、いるんだかいないんだかわからない人がいるよりは、全員積極的に参加できる人の方がいいのは当然ですよね。

思うに、参加者をどのように集めても積極的に議論に加わる人の人数は同じだと思うんですよね(たぶん)。強気に出ることで、参加者が極端に減るのではないかというのは職場での心配事項の一つだったんですが、蓋を開けてみれば前年度におこなった同種の研修とほぼ同じ修了者数でした。

これはあれですね、昔「オープンブック(つまり持ち込み可)」のテストを大学でやったことがあるんですよね。結果として「持ち込み不可」としても「持ち込み可」としても学生の基本的な序列は変わらないということに気づきました。それに近いかな、なんてことを思いました(わかりにくい例ですまない)。

まとめ

というわけで、先日おこなった研修についての覚書を書いてみました。

内容については触れてないので、なんのこっちゃわからないとは思いますが、まあそのような気づきがあったということを記録に残しておきます。

少しだけ、グループワークに(個人的に)光が見えた研修でした。

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