『プロジェクト学習の基本と手法』PBL基礎を知る③完

投稿者: | 2024年3月1日

🔳『プロジェクト学習の基本と手法』PBL基礎を知る①
🔳『プロジェクト学習の基本と手法』PBL基礎を知る②

↑からの続きです。

目標が設定でき(①)、目指すべきゴール(②)が見えれば、あとはそれを線でつなぐ活動をおこなえばいいわけですが、参考にしている↓の本にはそのフローが詳細に書かれています。

鈴木敏恵(2013)『プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく』教育出版

PBLの流れ

1~2はで、6~8についてはで言及しました。ゴールが決まっている状態で「3.計画」のフェーズに入るので、「3(そのゴールに辿り着くための)計画」を立てて、「4情報」を集め、「解決策」を考える。そして「5(プレゼンや再構築の際に提出する成果物を)制作」する。・・・・まあ当然と言えば当然な流れです。

しかし、どういう層を学習者として想定するかによっても変わってくるでしょうが、「はい、では計画を立ててください」「情報を集めてください」「プレゼン資料を作ってください」と言ってこちらの思惑?通り動けるような人ばかりでないのが普通だと思うので、教師はしっかりとその過程をある程度管理していく必要がありそうです(自由にやってもらってうまくいくなら別に管理する必要はないですが)。

コーチング

私は今「管理」という言葉を使いましたが、本書ではそのような用語は使われていません。「計画」のフェーズでも「学習者が指示されて動くのではなく、自分たちがすべきことを自分で考え出せることが必要です(p90)」と書かれており、学習者の主体性に期待する姿勢が求められています。

そこで教師としてとるべき行動が、

コーチング

というわけです。このコーチングは本書の至る所にでてきます。あくまでも主体は学習者、そして教師は学習者がゴールに辿り着けるように誘導するための伴走者ということですね。

「コーチング」というとなんか専門的な響きがしますよね。実際私もコーチングのプロの方のセミナーを聞いたり、本を読んだりしたこともあります。そう考えると、「まずはコーチングの手法を学んでから・・・」などと思いがちですが、我々そんな悠長なことは言っとられません。研修はもうちょっとで始まるのです(超個人的な話ですまない)!

🔳「コーチング入門」ワークショップでの気づき3点
🔳「日本語教師のための はじめてのコーチング」

本書を読めば、そのコーチングのコツなどが詳細に書かれています。それを読んでマニュアル的に取り組むのも良いでしょう。いや、良いでしょうじゃなくて、できればそうするのが良い。

ただ、私がこの本を詳細に読み込んだ結果わかったコーチングの最も有効な方法、というか方針の持ち方は、

問いかけをする

ということです。いやあ非常に簡単ですね。

なんか「コーチ」というと、「カーブを狙い撃ちしろ」「高めのボールを狙っていけ」みたいに指示を出す感じがしますけど、主体性を大事にするならやっぱ問いかけをして、学習者が自分で答えをみつけられるようにしないといけないみたいです。

例えば「プレゼンテーション」の項のコーチング例としては(p109)、

「何のためにプレゼンするの?」
「一番伝えたいことは何?」
「もう一度するとしたらどこをよくしますか?」

などが書かれています。

私の理解を超噛み砕いて言うと、もしプロジェクトが難しい方向に進んでいると教師が判断した場合は、それを修正するような問いかけをおこなう。もしプロジェクトが良さげな方向に進んでいると思う場合は、それに更に磨けをかけるような問いかけをすべし、ってことかなと。

とにかく問いかけ。そして答えは学習者に出してもらう(のが良さそうですね)。

枠組み

また私が重要だなと考えるのは「枠組み」を提示し、利用することです。

「はい、自由にやってください」の号令と「コーチング」だけで素晴らしい成果物を出せる人は普通全体の2割くらいだと思います(もちろんどういう層を学習者として想定するかにもよる)。

その時全体の質をある程度担保するのが、「枠組み」ではないでしょうか。「枠組み」という言い方がわかりづらいかもしれませんが、何か決まったフォーマットのものに途中経過を記入させるという意味での「枠組み」です。

例えば、「計画のフェーズ」では「はい、ゴールまでの計画を立てましょう」だけではなくて、計画表みたいなものを渡し、その枠組み(決まったテンプレートの計画書)を埋めていく形で議論をしてもらうようにする。それだけで、まとまりのないチームでも何となく計画っぽいものはできます。

本書では「枠組み」という言い方はしていませんが、巻末に「スタートするための基本フォーマット」(p171)という章があり、実際にコピーして使えるレベルの様式が収録されています。

私が以前おこなった研修でも、それはPBLとはちょっと違いますが、最終的に成果物を提出してもらう形のもので、やはり成果物の質をある程度担保するため「枠組み」を利用しました。

結果的に、この研修会はうまくいったと個人的には思っており、その要因の一つは「スモールステップ」で「枠組み」を活用したことだと考えています(気になる人は↓をチェック)

🔳「交流学習」に関する研修を開きました

おそらく能力の高い人たちにとってはこういった「枠組み」は足枷になると思うんですが、全体としての質を保つためにはこういう管理の仕方はあっても良いのではないかと思います。あまりにも自由だと何もできなかったりしますしね。

さいごに

というわけで、

目標を立てて(①)、
コーチングや枠組みを活用しつつ作業をおこない(③)、
プレゼン・凝縮ポートフォリオを作成する(②)。

というPBLの基本的な流れについて見てきました。一連の記事はあくまでもアウトラインをなぞるだけのもので、例えば「計画の立て方」「プレゼン資料の作成方法」など具体的なところには触れていません。その辺の「点(各フェーズの具体的な活動)」のあり方を知りたい人は本書や、それに類する本を読んでもらったらいいと思います。評価についても私は全く触れていませんね。

とにかく私はこの①〜③の記事を作りながら、大体PBLの基本的な考えや進め方を理解することができました。自分のために書いているわけですが、もしかしたら読んで役に立つ人もいるかもしれません。

また、数ヶ月後に実際にPBL研修を計画していますので、それが終わった後その内容も報告できたらいいなと思っています。それではごきげんよう。

🔳『プロジェクト学習の基本と手法』PBL基礎を知る①
🔳『プロジェクト学習の基本と手法』PBL基礎を知る②

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