バイリンガル教育のケーススタディ~Hapa 英会話のJUN先生の場合~

投稿者: | 2021年3月29日

時々、HAPA英会話というポッドキャストを聞いています。

Hapa 英会話

JUNさんという先生が、ネイティブ同士の会話などを聞かせつつ、それに文法や語彙の解説をしていくというスタイルのポッドキャストです。

私が興味を持ったのが、このJUN先生という人で、どうやら英語のネイティブのようなんですが、日本語もネイティブっぽいんですよね。だから、日本語の解説もとても聞きやすいんですね。また、この先生が英語にしても日本語にしても、とっても丁寧な話し方をしているので前から好感を抱いていました。同じ教師としても、話し方はとても参考になると思います(私はもっとぞんざいな話し方になってしまうので)

で、しばらくぶりにこのポッドキャストを開いてみたら、「バイリンガル教育」というのが目に入ったので、それを聞いてみました↓。

第331回「特別編:Junが語るバイリンガル教育を受けて感じたこと」

JUN先生はアメリカ人のお父さんと、日本人のお母さんの間で生まれ、アメリカでずっと暮らしてきたのだそうです。そして、今回の話は自分が受けたバイリンガル教育について語るという体裁です。

その話がなかなか面白かったので、ここで簡単に共有してみようと思います。ケーススタディの一つとして、役に立つ部分もあると思います。

JUNさんの話

まず設定ですけど、上でも述べましたが、父はアメリカ人、母は日本人だそうです。そして年子の妹がいるそうです。生まれたのはわかりませんが、おそらく人生のほとんどをアメリカで過ごしているものと思われます。

●4年生まで日本人学校

ロサンゼルスに住んでいたようなんですが、小学4年生まで日本人学校に通っていたそうです。そしてその後はアメリカの普通の学校に入ったという。これはお父さんとお母さんが相談して決めたことのようです。

どうせアメリカにずっと住むから英語の習得には困らない。だったら社会的に劣勢な言語である日本語の方を先にやっちゃおうということですね。まあ、理屈は私もわかりますし、理にも適っているとは思いますが、そういうことを計画的に進められるというのがすごいですね。

別に転居とかそういう理由で学校を移ったのではないそうです。そして妹さんも同じように4年生まで日本人学校にかよったそうです。父親がアメリカ人ですし、一歩外に出れば全部英語ですから、その当時でもそこそこの英語力があったとは推測できますけど、新しい環境に適応するのはそれなりに大変だったでしょうね。

私の息子は、3年生まで韓国のローカルの学校に通っていて、4年生から日本人学校に通い始めました。受容的バイリンガルでしたので、最初は大変だったと思います。でもあれですね、このくらいの年齢であれば、割とスムーズに新しい環境に着地できるのかもしれませんね。私の子もそうですし、JUNさんもそうですけど、この時点で既に「それなりにバイリンガルであった」という前提は外せないかもしれませんね。

●ぶれない方針

JUNさんのお母さんがバイリンガル教育について話すときに必ず言うことは、「夫婦でぶれない方針を共有すること」「他人と比較しないこと」なんだそうです。

教育に関しては「一億総専門家」みたいな雰囲気があるじゃないですか。それぞれがそれぞれの意見を持つのはいいと思いますが、自分の経験談だけで話しがちですよね。「東大に子供を入れた人の本」とか、「サッカー選手の親が書いた本」とか、それはそれでひとつのケーススタディなわけですけどね。それが汎用的に適用されることはありませんよね。

バイリンガル教育に関しても、ほんといろんな意見があります(ソースは私の経験)。きっとJUNさんのご両親も、周りから色々な話を山ほど聞いていたと思います。言語習得に関しては、年齢による壁みたいなのもある程度ありますし、やり直しがきかない部分もありますから、人の話に不安になったりすることもありますしね。

でもJUNさんのお父さんやお母さんは二人でよく話し合って、教育の方針を決めたそうです。結構これって大事なんじゃないかなと思います。そもそも正解がないものですから、二人でよく話し合って決めた方針が正しいか間違っているかも分かりませんし、あとから検証することも難しいです。でも人の話に舞い上がったり不安になったりするぐらいであれば、このぐらいの鉄の意志を持ってやるほうがいいかもしれません。

私なんてブレまくりですけどね。まぁ唯一ぶれなかったのは一人一言語っていうあれですかね。習慣になってますから別に努力を要するものではありませんでしたが、この方針だけは守ってきました。

また「他人と比較しない」というのもとっても大事だと思います。バイリンガル教育は家庭の数だけありますから。ある言語能力の一部分だけを比較して、「なぜうちの子はできないんだろう」と考えるのはあまりいいことではありません。まあそれでも比較しちゃうのが人間の性ですけどね。

●楽しさを教えること

アメリカの学校に通い始めて以降、JUNさんは特に高校生ぐらいからは日本語を全く勉強しなくなったそうです。周囲には英語を話す友達しかいなかったでしょうし、家ではお母さんと日本語を話したと思いますが、ほとんど普通のアメリカ人の家の子供のように生活していたと考えられます。

でも唯一続けていたのが「漫画を読むこと」だったそうです。それはお母さんに強要されたというわけでもなく、自分が好きでやっていたようです。

JUNさんは、「点数を上げることというモチベーションでは絶対に勉強はできない」というようなことを言っていました。それは本当にその通りだと思います。漫画やファミコン、そういう楽しみを行うために言語の使用が必要になるんですよね。

そしてそれを可能にしたのは、4年生まで日本人学校に通ったと言う下地でしょう。それがないと漫画なんてなかなか読めませんからね。

親目線では「将来役に立つから」というわけで子供に2言語をやってもらいたいわけですが、子供にとってはそんなこと知ったこっちゃありません。そんな中で親ができることは、その言語を使う楽しみを与えることですね。そういった意味では日本語はサブカルチャーの進んだ国ですから、有利かもしれません。

でもそういったサブカルチャーとかでなくても、「●●語ができれば、●●の国の人と話せる、遊べる」というのは楽しみとも言えますよね。色々な言葉を使えると色々な人(や物事)とコミュニケーションが取れて楽しいというように導くのが肝なんでしょうね。

まとめ

以上JUNさんのバイリンガル教育についての話をまとめてみました。

JUNさんも言っていましたが、バイリンガル教育って一言で言いますけど、家庭の数だけ、子供の数だけそれぞれのバイリンガル教育があるんですよね。つまり、「こうやっていれば大丈夫」というものはないんですよね。もちろん理論とか、統計について書いた本はありますけど、あくまでそれは理論であり、統計なんですよね。

でも逆に実例だけでも駄目です。JUNさんは高いレベルの日英バイリンガルだとは思いますが、JUNさんのご両親と同じことをやれば同じようなバイリンガルが育つかどうかは分かりません。そもそも同じようにできる部分とできない部分がありますし。

だから大事なのは理論も実例もよく知ることですよね。理論をもとに家庭の方針を考えつつ、いろんな先人たちの話を聞く。そして夫婦や家族で話し合って最も良いと思われる方法をみんなでやっていこう。ぶれないことも大事ですが、方向転換をする勇気も必要かもしれません。

でまた同じ話になりますがその時に必要になるのは理論と実践です。そういった意味で、今回は実践側のいい話を聞けたと思いましたので、皆さんとご共有してみました。

過去にバイリンガル教育についてはいろいろ書いてますので、興味のある方はご覧ください。


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