バイリンガル子育てについてのメモ〜語彙力が低い〜

投稿者: | 2023年4月27日

うちの子2人は日本語と韓国語のバイリンガル環境で育っています。子供は日々大きくなり、昔のことなどすぐに忘れてしまうので思いついた時にさまざまなメモを残しておくことを常としています。この記事もその一環です。

私の家庭環境や過去の「メモ」、バイリンガル関係の本についての感想など更に読みたい方はこちらをご覧ください。

#バイリンガル教育

語彙力が低い

久しぶりにメモを書こうと思ったきっかけは、小4の次男の言葉でした。

「なんでみんないろんな言葉知ってるの?」

どうやら自分は他の子に比べて語彙力が低いということを認識したようです。これは私は前々から気づいていましたが、それに自分で気づいたということはメタ認知能力が少しついてきたということで、成長を感じました。

「本読まないからじゃない?」

と返したらその翌日だったか、学校から本を借りてきていたので本人もそのあたりは気になっているようです。

私も本を読んでくれたらな〜と一般の親と同じく常日頃思っていたのですが、いかんせん、私も子供の頃は読書が大嫌いだったので、特にそれを強要するようなことはありませんでした。中学生くらいからは誰に言われなくても本を楽しむようになりましたしね。

しかし、それはそれとして、この語彙力が低いということについてはもう少し考察が必要だと思います。

これは学術的なデータをエビデンスとして何かを論じるというものでもなく、一つのケーススタディとして「私の子の場合」をメモ的に論じるものですので、とにかく私が考える「語彙力が低い理由」について書いていこうと思います。

バイリンガル環境

これは大きいかなと思います。日本語だけ使って生活する子供に比べて日本語のインプット・アウトプットの絶対量が劣るのは間違いないでしょう。平均的な子供が「食べる」という概念の言葉を1日に20回使うとしたら、二言語で生活している子は(仮に言語の使用が五分五分の場合)日本語で10回、その他の言語で10回使うことになります。普通の子の半分の言語使用になりますね。

うちの子供達を見ていても、本にせよYoutubeにせよ、目的に応じて言語を変えて接しているようなので、これが日本語の語彙力の相対的な低さにつながるのは間違いないでしょう。

例えば、Youtubeなんてのは最たるものだと思うのですが、ヒカキンも好きだし、モクパンと言われる食べ物を食べる動画も好きでよく見ています。ヒカキンを見る時は当然日本語ですし、モクパンは韓国の方がおもしろいらしいので必然的にそこで聞く言葉は韓国語になります。

あと次男の場合はゲームが好きでスイッチをよくやっていますが、ゲーム攻略のYoutube動画なんかはお目当てのものが見つかればそれが日本語でも韓国語でも構わないので、両面からサーチをかけているような印象です。

そうなるとやっぱり日本語のインプットは相対的に減りますよね。

これが一つ目の「語彙力が低い」理由だと思います。

しかし考えようによっては語彙力が高いとも言えます。仮にイメージとしてモノリンガルの子の平均的な語彙力を100として、うちの子の語彙力を80としましょう。確かに20劣っているわけですが、もう一つの言語の語彙力が60あれば、合計で140になり、モノリンガルの子を上回ることになります。

もちろんイメージの問題ですので数字の妥当性とかは考えないでもらいたいのですが、「できない面よりもできる面に着目する」のが最近のトレンドでもありますので、そういう風に考えて「なぜ他の子はみんないろんな言葉を知っているのか」に対する返答としては、

「その代わり他の子が知らない言葉もたくさん知っているのでは?」

と声がけしてやるのが大事かなとも思います。私はそれを昨日は忘れていたので、今日家に帰ったらそう言ってやろうと思います。

テレビを見ない

これも一つ重要なことかなと思います。うちはあまりテレビを見ないのです。

うちの長男がよく言うのが「なんでうちは日本のテレビ見れないの?」ということなんですけど、よく聞いてみると友達のうちの大部分は家に帰れば日本のテレビ番組が比較的自由に見られるようなのです(私たちは一貫して海外に住んでいます)。

日本人の人に聞いてみると一月いくらとか一年いくらとかお金を払うと日本のテレビが見られるそうなんですが(あとそういう機械も売っているそうですが)、私の家ではそういうことはありません。

ここ数年はNHKの海外版が見える家に住んでいますが、テレビ自体あまり見ませんし、見ても中国の番組を見るのがほとんどで、一応NHKも回してみたりもしますが、おもしろい特集とかニュースがあればたまに見る程度です。

私が子供の時から「テレビを見過ぎる」というのは悪いことのように言われていました。確かにいい面悪い面両方あると思うんですが、言語の習得という点では見直すべき点があるのではないかと思っています。

昔暇な時はダラダラテレビを見続けたものでした。見るコンテンツは必ずしも自分の興味関心に沿ったものではありません。親が見ているのを隣で見るということもありました。そんな中ではありとあらゆるジャンルの言葉が飛び交うことになります。そしてそういうインプットを続ける中で自然と習得してきた語彙というのも少なくないと思うんですよね。

一方最近は見たいものを見る時代ですから、使われる言語も偏ってきます。「それってあなたの感想ですよね?」みたいなこなれた受けごたえをされて「ほー」っと思ったこともありますが、一方で例えば各種ドラマで使われる俗語隠語みたいなものは割と一般的なもの(例えば刑事ドラマに出てくる「サツ」「チャカ」「臭い飯」とか)でも、もしかしたらそれなりの年になってもわからないんじゃないかと思ったりします。

あ、それと野球のルールも知らないでしょうね。私も見ないし。

生活環境

あとは、やはりうちがずっと日本に住んでいないということでしょうか。

次男の場合、小学校は最初から日本人学校に通っていますが、人生の中で日本に住んだのはたった4ヶ月だけです。海外に住んでいると目に入る言葉、学校以外で耳にする言葉は当然全部日本語ではありません。

日本なら街を歩いても日本語が溢れています。看板、広告、標識、案内、知らず知らずのうちに目に入ります。買い物、食事に行けば自分は話さなくても親が話す日本語を聞く機会も少なくありません。メニューも読んだりするでしょう。

また本屋に行く機会もあるでしょう。中身が気になる雑誌などがあって、買ってくれとせがむこともあるでしょう。でも海外にいるとそういうことが基本的にはないのです。

それに夫婦の会話も韓国語がほとんどですからね。日本語でも十分話せますが、最初に韓国語で話してしまって、それがずっと習慣になっているので日本語で妻と会話をするのはこそばゆい感じがします。

まあ、そういう環境ですね。

余談ですが、4ヶ月日本に住んだのは次男が3年生の時でした。びっくりしたことがあって、3年生なのに交通信号についてよくわかっていなかったのです。「青になったら渡る」くらいは知っていましたが、交差する道の信号が赤になったら自分が渡る信号が青になるという、誰も普通は教えてくれなくて自然に身につけるような常識がまったく身についてなかったのです。「もうすぐ信号変わるよ」「なんでわかるの?」という会話があったんですね。

それはその前の3年間プノンペンに住んでいたからでした。え?プノンペンって信号ないの?という疑問を持った方、そうではありません。あります、たくさんあります。でも歩道があまり整備されておらず、交通量の多い道を歩いて徘徊するみたいなことがあまりなかったのです。

まとめ

というわけで、私が考える「息子の語彙力が低い」理由についていくつかわかりやすいものを書いてみました。もちろん他にもたくさんあると思いますし、個人的な素養によるところもあると思います。読書量が少ないということもあるでしょう。

私としては先にも述べたように、「自分は周りよりも言葉を知らない」と認識できたのは成長の証だと思っています。そういうことが内的な動機になります。親が「本読め〜」と言っても読みませんから。

そしてもう一つ親の態度としては「しかしながら他の子ができないこともできる」という事実を植え付けていくことも大事かと思います。根拠のない自信ではなく、根拠のある自信ですね。特にバイリンガルの子の場合、一時的にどちらの言語でも劣等感を感じる場面が出てきます。私の子の場合日本人社会と韓国人社会に片足ずつ足をつけていますが、日常生活でその社会が交差することはほとんどありませんから、どちらの社会でも中途半端さを感じることはあるでしょう。

と、いうわけで、メモ書きです。特に結論があるわけではありません。私の思考の過程を残しておきます。

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