【2019年度】日本語専門家公募の過去問をやってみる(1/5)

投稿者: | 2019年7月5日

さて、今年も日本語専門家公募の季節がやってきました。このブログでは一年に一度問題を解いてみて、自分のできなさっぷりを確認しています(笑)

何度も言いますが、これは決して模範解答ではありません。ただ、問題を解いてみて、それを公開するだけのものです。

いいですか、もう一度言いますよ。

ただ、やってみるだけです。

ちなみに過去の同じ試みは以下で見られます。もっと遡りたい人はご覧ください。そして、もし、「過去の問題まで公開するなんてけしからん!」という人がいましたら、ご連絡ください。ただちに削除いたします

【2018年度】日本語専門家公募の過去問をやってみる(1/4)
【2017年度】日本語専門家公募の過去問をやってみる(1/4)
【2016年度】日本語専門家公募の過去問をやってみる(1/4)

今からやってみる試験は、正式には、「国際交流基金2019年度海外派遣 日本語上級専 門家 ・専門家公募筆記試験」です。ちょっとややこしいんですが、これは「2019年度」におこなわれた試験ではなく、2019年度に海外派遣される専門家を選抜する試験です(試験は2018年度におこなわれたわけですね)。

問題は全部で23問。これを120分で解きます。一気にここでやると非常に長くなるので、今回は5回に分けてやってみることにします。では、行ってみましょう。

問題1


(1)「あの店」の「あの」の部分に問題がある。話し手と聞き手が共に既知のことを指す場合は「あの」を始めとしたいわゆる「あ」系の指示詞を用いるが、この場合は学習者にとっては未知のものを指しているため、「そ」系の指示詞を用いなければならない。

適切な文→「へえ、その店は何という店ですか。」

(2)「入ったあとで」の「あとで」に問題がある。「〜たあとで」の後ろには一回性の動きを表す瞬間動詞が来る。しかしこの学習者の発話では「毎日忙しい」というある程度時間の幅のある継続的な表現が用いられている。それを適当な表現に直すためには「〜たあとで」ではなく「〜てから」を使うと良い。

適切な文→「大学に入ってから、毎日忙しいです。」

(3)「声をかけざるを得ない」の「かけざるを得ない」に問題がある。「〜ざるをえない」という表現は「やむを得ず〜する」「本意ではないが〜する」というニュアンスがある。この場合は「困っている人を見たときに、声をかけるのは本意ではない」という否定的な意味ではないと推察されるため、「〜ざるをえない」よりは「〜ないではいられない」を使うのが妥当であろう。

適切な文→「困っている人を見ると、声をかけないではいられない性格である。」

【言い訳】(3)は「適切な文」は合っていると思いますが、これで適切な説明になっているかは微妙です。

問題2

不適切な点→体の調子が悪くてレポートの締切を延ばしてほしいと頼む立場の学生が、「〜たらどうですか」という相手にアドバイス、助言をする表現を用いていること。また、レポートは数日前から出されていたはずである。今日体調が悪くても前もってやっていれば問題は生じなかった。そういう自分の日程管理の甘さに対する言及もあったほうが良い。

適切な応答例→「すみません。実は今日ちょっと体の調子が良くないんです。前もってやっておかなかったのは私のミスですが、明日にしてもらえませんか。」

問題3

「のに」も「が」もとても似ています。でも「のに」は人にお願いしたり、自分の考えを話したりするときには使えません。「難しい試験ですが、がんばってください」はいいですが、「難しい試験なのに、がんばってください」はダメです。「風邪をひいていますが、がんばります」はいいですが、「風邪を引いているのに、がんばります」はダメです。
「のに」は「もう、わかっていること」にだけ使うことができます。だから、例えば「風邪を引いているのに、がんばりました」はOKです。

訂正:もっと簡単に言うと、「のに」の後件には「話し手の意志」がこないからということになります。指摘をいただきました。ありがとうございます。

【言い訳】うーん、これは微妙です。でもこの回答で満点でなくても半分くらいはもらえるんじゃないかと思います。あまり参考にしないでください。

問題4

動作の相手 斉藤さんと一緒に歌を歌います。
変化の結果 そして春となりました。
引用    「明日、遊ぼうよ」と言われました。

【言い訳】私はすぐに上の3つが思いつきました。用語はおそらく業界的に統一されていないので、あんまりこだわる必要はないと踏んでいます。他には、

異同の基準 私は父と似ています。/これはそれと違います。

などがありますが、これも用法の名前はテキトーです。なにかいい名前があるんでしょうか?

問題5

(1)ア B
   イ D
   ウ 訓令式

ヘボン式 kaishano tomodachito fujisano mini ikimashita
訓令式  kaisyano tomodatito huzisanwo mini ikimasita

(2)① A
   ② 汗 A
     様 A
     下 B 
     畑 C

③形声文字の特徴は、音を表す部分と意味を表す部分から成り立っているという点である。だから、どう読めば良いかわからない漢字が出た場合でも、音を表す部分を音読みすれば、それが正しい読みである可能性が高い。

【言い訳】ヘボン式と訓令式は理解しているとは思いますが、「富士山を」の書き方がよくわかりません。「を」を「富士山」にくっつけてしまうと「FUJISANO」となり、「ふじさの」と読めてしまいますよね。この辺どう対応するんでしょうか。

また、(2)の②ですが、問題が4つあって選択肢が4つあると、それぞれ違うものを答えにあてたくなりますが、どう考えても「様」「汗」は形成文字ですよね。

続きます。

日本語専門家公募の過去問をやってみる(2/5)

【2019年度】日本語専門家公募の過去問をやってみる(1/5)」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: 【2019年度】 日本語専門家公募の過去問をやってみる(2/5) – さくまログ

  2. 韓国脱出

    こんにちは!
    大変有意義な情報満載のブログで職場の同僚にもすすめてブックマークし、勉強会と称してこのシリーズ?も使わせていただいてます!
    実は私もつい最近まで韓国の大学で働いていました。しかも結構長いこと。。。^^;

    勉強も兼ねて調べたりしてわかったことなどをコメントさせていただこうと思います。

    「のに」についてですが、基本的に後件に意志が来る場合には使えないかと思います。
    「がんばります!」だから使えないのではないかと。

    返信
    1. shirogb250 投稿作成者

      こんにちは。
      ご指摘ありがとうございます。
      そしてそのご指摘通りだと思います。
      その他の私の回答も、今見てみたら間違いだらけですね。
      ぜひ、反面教師にしてください!

      返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です